日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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スポーツ人類学/口頭発表①

2022年9月2日(金) 14:40 〜 15:42 第12会場 (3号館5階501教室)

座長:真田 久(筑波大学)

15:22 〜 15:42

[12人-口-03] 明治のおもちゃ絵・絵双六に描かれた「スポーツ」

*渡邉 昌史1 (1. 武庫川女子大学健康・スポーツ科学部)

正月の遊びの一つに絵双六がある。江戸時代に木版技術の進歩によって発達し、明治時代になると、当時の流行や世相を反映した様々なものがみられるようになった。絵双六はそれぞれの時期の人々の関心の在処や世の中の流行を映し出す鏡でもあったともいえる。
 明治末期頃からは少年少女雑誌が多く刊行され、その付録として欠かせないものになった。
 絵双六には、振ったサイコロの目だけ順番に先に駒を進ませる「廻り双六」、マスに記された数字が指定するマスへと駒を飛ばす「飛び双六」、両方の形式が合わさった「飛び廻り双六」などがあるが、いずれも全体が数多くのマスに区切られており、「絵尽くし」の様相を呈する。
 本発表では、明治期に発行された絵双六、なかでも「運動」をテーマとしたものを取り上げる。これらは、外来のスポーツが高等教育機関の外国人教師、留学からの帰国者らによって日本へと紹介され、大学を中心に花開き、そして浸透していったスポーツの案内的な性格を持つものである。そして、そこには当時のスポーツをめぐる価値観が投影されている。  これらの絵双六のマスに描かれた絵を分析することで、明治期において外来のスポーツがどのように受容・享受されていったのかの一端を明らかにする。