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[05バ-口-01] 平行棒の後方宙返りおりにおいて身体モデルが実現可能な動作の集合全体における高パフォーマンス実現に必要な動作要素の特定
競技者が行う動作はその競技者が受けてきた指導の影響を強く受けると考えられる。従って、その競技者が取り得る動作の集合は、起こりうる動作全体の集合に比べて小さい可能性があり、その範囲内でみられる高パフォーマンス実現に必要な動作要素が、必ずしも起こりうる動作の集合全体でも当てはまるものとは限らない。特に、伝統的な指導により上級選手同士の動作が似通る体操競技はそれにあてはまる。そこで本研究では、比較的単純な平行棒の後方宙返りおりを題材に、現実の競技者が実現する範囲に限定せず、生理学、解剖学的な拘束を伴った力学的シミュレーションモデルが実現可能な範囲に着目し、高パフォーマンス実現に必要な動作要素を特定することを目的とした。そのために、手、肩、股関節の関節トルクの活性を入力とする剛体リンクセグメントモデルを用いた平行棒の後方宙返りおりシミュレーションを行った。入力の解像度をシミュレーションに要する時間の点から妥当なものに設定し、起こりうる全ての活性パターンに対してパフォーマンスを計算した。各時刻の関節角度に着目したところ、離手前0.35秒における手関節角度の存在範囲が最も小さいことが分かり、この時点で特定の手関節角度を実現することが高パフォーマンスのために必要であることが分かった。離手前0.35秒における手関節角度を指定し、それぞれでの最高パフォーマンス動作を選ぶと、回転速度は手関節角度に対し単調増加、滞空時間は極大値を示し、両者のバランスによって最高パフォーマンスをもたらす手関節角度が決まることが分かった。さらに、単純化した1セグメントと鉛直ばねからなるモデルによって、セグメントが傾くほど上向き射出速度が低下することが分かり、平行棒の後方宙返りおりの上方加速局面における身体のなす角度によって滞空時間の増減がなされることが分かった。