日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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バイオメカニクス ポスター発表

2022年9月2日(金) 11:30 〜 13:00 第一体育館バスケ2 (第一体育館バスケ)

[05バ-ポ-04] 漸増負荷ペダリング運動時における下肢関節モーメント

*和久井 健吾1、牛山 幸彦2、佐藤 悠樹1、宮﨑 孝一郎1、亀山 就平1,3 (1. 新潟大学大学院、2. 新潟大学 人分社会科学系、3. 新潟経営大学)

乳酸性作業閾値(LT)や換気性作業閾値(VT)は、有酸素性作業能力を評価する指標として有用な情報をもたらす。しかし、これらの測定には侵襲性を伴う点や高額な機器が必要である点において、検者または被験者への負担が大きい。そこで、これらに代わる指標として、侵襲を伴わず、比較的安価に測定が可能な表面筋電図を利用した手法に関する研究が行われている。これらの研究では、主に漸増負荷ペダリング運動中における下肢筋電図を測定し、その積分値(IEMG)が急増する時点が存在するとしており、これに対応する運動強度が筋電図閾値(EMGT)と呼ばれている。こうしたIEMGの急増は、負荷の増加に伴う血中乳酸濃度上昇に起因するとされているが、一般的にIEMGと比例的な関係にあるとされる筋張力の変化や、これにより生じるペダリング動作そのものの変化に着目した研究は散見される程度である。そこで本研究では、当該運動中における関節モーメントを算出し、運動強度間の比較を行うことで、ペダリング動作の変化について検討することを目的とした。
 男性自転車競技者を対象とし、5分間のウォーミングアップと10分間の漸増負荷ペダリング運動(ケイデンス:90rpm、初期運動強度:110W、運動強度増加速度:10W/30sec)を実施した。試技中の下肢筋電位、腰部および下肢の骨特徴点座標値、ペダル踏力を測定し、各被験筋のEMGTと矢状面上における足関節、膝関節、股関節の関節モーメントを算出した。
 各関節モーメントについて、各対象者においてEMGTの前後10%および20%に該当する運動強度におけるデータを分析対象として比較を行ったところ、ペダルの踏み込み局面において、運動強度の増加に伴う足関節底屈モーメントの増加傾向が見られたが、EMGTを境とするような明確な変化は見られず、この時点におけるペダリング動作の変化は示されなかった。