[05バ-ポ-10] 卓球のフォアハンドストローク動作における主観的努力度とパフォーマンスの関係
卓球は長辺274cm、短辺152.5cmのプレイングサーフェスの中でボールを打ち合うスポーツである。速い球を打つために全力でスマッシュやドライブを打つこともあれば、正確性を重視して力を抜いて打球することもある。また、ボール速度のみならず、ラバーとボールの摩擦を利用し、ボールに多彩な回転を与えコントロールすることもある。卓球選手にとって、力の出力の制御は重要であるが、いまだに主観的努力度に関する研究が行われていない。また、打動作における主観的努力度に関する研究の中で、動作に着目した研究は少ない。そこで本研究では、主観的努力度の異なる動作から卓球指導の基礎的知見を得ることを目的とし、上半身の関節運動に焦点を当てて主観的努力度と客観的達成度の比較を行なった。研究対象者は、卓球の競技歴6年以上を有する18歳以上の男子卓球選手とした。試技はフォアハンドストロークで主観的努力度を5段階(60%、70%、80%、90%、100%)に分けて、卓球台の対角線方向に設置した目標に向けて1段階につき連続10回打球した。ハイスピードカメラによって撮影された映像からボール速度、ボール回転数、ボール落下位置の正確性を算出した。また、上半身の骨特徴点14点およびラケット先端を光学式モーションキャプチャシステムで計測し、得られた三次元座標値より関節角度を算出した。分析区間は、ニュートラルポジションからストロークを始め、再度ニュートラルポジションに戻るまでとし、1ストロークを4つの局面(バックスイング局面、フォワードスイング局面、インパクト局面、フォロースイング局面)とした。本研究の結果として、卓球のフォアハンドストローク動作では、主観的努力度が大きいほど、ボール速度および身体各部の最大速度、上半身の関節角度が大きい傾向が見られた。