[09方-ポ-26] 体育系大学バスケットボール授業を対象とした主観的状況判断の要因について
Elferink-Gemser et al.との要因の比較
【緒言】Elferink-Gemser et al. (2004) は侵入型スポーツを専門とする一流プレイヤーの判断知識の構造に関して23項目の自己申告型の調査項目に因子分析を行い、「位置取りと意思決定」「ボールの動きに関する知識」「相手に関する知識」「状況変化への対応」の4因子を抽出している。しかし、体育系大学で行われているバスケットボール授業においては、様々なスポーツ種目の選手が履修しており、その要因に違いが見られることが考えられる。そこで、本研究では、先行研究の項目内容をバスケットボール技術に特化させた18項目をもとに一流プレイヤーとの因子構造の違いを明らかにした。【研究方法】対象者は、F大学とK大学で実施されているバスケットボール授業を対象とした男子229名である。因子分析は主成分分析により因子を抽出し、その後プロマックス回転を行った。因子数は、先行研究と比較を行うために4因子とした。【結果】得られた因子は、有意な因子パターンを示した項目に共通な特性として解釈され、各々「F1:ボール保持での行動判断」「F2:他者の行動予測」「F3攻守の切り替え」「F4ボールカットの判断」因子と解釈した。先行研究と比較してみると、F2とF4は「相手に関する知識」、F3は「状況変化への対応」に対応していると考えられるが、F1では「ボールに関する知識」と「位置取りと意思決定」の因子が融合していると考えられる。その原因として、体育授業ではポジションごとの役割が明確にされていないことが考えられ、ボールを運ぶ選手、リング下に待ち構える選手、など動きが明確にされていないことで、ボール操作が上手な選手がポジショニングにも対応して、それらが総合され、上手いことに繋がっているのではないかと考えられる。体育授業でもポジションの指定をすることでそれぞれの動き方の知識が増え、状況判断の向上に繋がることが考えられる。