日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育方法(偶数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 13:00 〜 14:00 第一体育館バスケ1 (第一体育館バスケ)

[09方-ポ-34] 体操競技における「側性」問題圏に関する発生運動学的考察

*廣田 修平1 (1. 北翔大学)

体操競技は、回転運動や懸垂運動、逆位体勢での姿勢保持などの多種多様な非日常的運動で構成される。その為、初めて練習に取りかかる技においては、なじみのない動きに遭遇することも珍しくない。
 日常動作における〈文字を書く〉〈箸を使う〉などの行為には「右利き」「左利き」というように「利き手」というものが存在する。「利き手」とは、左右の手のうち、ある特定行為や運動を遂行するのに優勢に働く側の手を指す。
 体操競技の運動においても、左右どちら側で実施するのが課題遂行に優勢に働くかという「側性」の問題圏が存在する。〈倒立〉における振上げ足と踏切り足の関係や、〈宙返り〉系統の技におけるひねりの方向、支えひねりにおける軸手の選択などが例として挙げられる。運動における「側性」問題圏の最大の主題は、運動課題遂行において優勢に働く側を選択することであり、端的に言い換えれば「やり易い側で行う」ということになる。現に「やり易い側で行う」という観点は非常に重要な視点であり、日常動作においても体操競技においても、多くの動き方がそのように選択されている。一方で、多種多様な非日常的運動で構成される体操競技に取り組み始めたばかりの学習者においては、日常動作で経験したことのない、なじみのない動きと遭遇することも多く、左右どちらが優勢か正しく判別できないまま、恒常的に練習を続けていく側を選択せざるを得ない状況も存在する。発表者が指導を行う大学体操競技部においても、上記のように、技の「側性」選択を行ってきた結果、独立した個々の技を遂行する場合には問題とならなかったものの、発展技や組合せ技を実施する上で、ひねりの方向が一致しない等のつまずきに直面する事例に遭遇した。
 発表では、具体的事例をもとに、体操競技における「側性」の問題圏を発生運動学的立場から考察し、「側性」選択の一助となるコーチング情報を提示する。