日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育方法(偶数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 13:00 〜 14:00 第一体育館バスケ1 (第一体育館バスケ)

[09方-ポ-36] データを活用した高等学校部活動におけるチームマネジメントの試行的取り組み

*小泉 佳右1、植竹 和人2 (1. 千葉大学大学院国際学術研究院、2. 聖隷クリストファー高等学校)

学校教員の長時間勤務、少子化、部活動指導の在り方などの複合的な問題が顕在化する中で、学校部活動の運営方法については再考を求められているといえる。学校それぞれにある事情や特性を配慮した部活動運営を進めることが、指導者と生徒にとって健全で有意義な活動に寄与すると考えられる。一方で、近年では、スポーツパフォーマンスのスタッツ化が急速に進み、試合でのデータを取得し分析することが容易になった。客観的なデータの提示は、高校生レベルにおいてはチームマネジメントやチーム戦術を自ら考えるきっかけにもなりうる。本研究では、高等学校バスケットボール部においてゲームスタッツを活用したチームマネジメントを実践している試行的取り組みについて紹介し、部活動運営方法の一つを提案する。
 調査対象となった高等学校バスケットボール部においては、日常の練習で、安全面での配慮や対応策を十分に施したうえで、生徒主体の練習を実践している。また、試合でのパフォーマンスを、BOXSCOREを利用して収集し、その結果を全選手に公開している。これらの指標をもとにして、次の試合の各選手の出場時間を決定するための選手間投票を実施する。一方で、短時間でもベンチ入りメンバー全員に出場機会が与えられるような配慮もある。このような部活動運営を実践している選手らに対して、和田ら(2021)が使用した部活動の満足度を評価するアンケート調査を実施した。アンケート結果を因子分析した結果、5つの因子が抽出され、それぞれ「活動への意欲」、「高校生活の中での居場所」、「目標への意識」、「自己実現度」および「主体的なチーム運営」と名付けた。部活動に求められる役割は多岐にわたるが、満足度をもたらす因子は活動環境によって変化すると考えられる。それぞれの環境にある教育リソースを効果的に活用した特色ある活動の有用性について、さらに検証していく必要がある。