[03心-ポ-14] 間欠的運動における強度の違いがサッカー選手の情報処理機能に及ぼす影響
ここ数年におけるサッカーの変化、進化を象徴する事象のひとつはプレーの強度である。その背景には、選手のフィジカルフィットネスや技術レベルの向上、チーム全体が高度に組織化されたことが関連している。そのため、選手は身体的な運動側面だけではなく、知覚・認知的側面である脳内における情報処理機能も合わせて強化していくことがプレー強度を高めるためには重要である。これまでの運動強度に関する研究において、運動と情報処理機能の間には逆U字の関係があることが報告されている。つまり、脳内における情報処理は運動強度の変化に影響を受け、至適な強度水準が存在する。しかしながら、これらの研究に用いられた運動課題の内容や時間、形式は研究間でも異なっており、サッカー競技に般化するためには更なる研究知見の蓄積が必要である。以上のことから、本研究ではサッカーの試合を想定した間欠的運動の強度と情報処理機能は逆U字の関係にあるのか検討することを目的とした。大学生サッカー選手13名を実験参加者として、パス選択反応課題、新ストループ検査Ⅱを各条件(安静時、中強度、高強度)における運動課題の後に計3回実施した。パス選択反応課題では反応時間(Reaction Time: RT)と正答率(%)、新ストループ検査Ⅱでは正答数と逆ストループ干渉率(%)を測定して、各条件間における比較を行った。結果、パス選択反応課題において中強度と高強度のRTは安静時のRTと比較して有意に早かったが、中強度と高強度のRTには有意な差は認められなかった。新ストループ検査Ⅱにおいて、中強度と高強度の正答数は安静時と比較して有意に増加した。逆ストループ干渉率(%)は条件間における有意な差は認められなかった。これらの結果は、間欠的な運動が情報処理の早さ及び選択的注意機能を高める可能性を示唆したが、運動強度と情報処理機能が逆U字の関係であることは示されなかった。