日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(偶数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 11:00 〜 12:00 第一体育館バレーボール1 (第一体育館バレーボール)

[03心-ポ-28] 剣道の打撃においてフェイント動作はなぜ有効なのか

*奥村 基生1、木島 章文2、山本 裕二3 (1. 東京学芸大学、2. 山梨大学、3. 名古屋大学)

本研究では、剣道の攻撃者が近い・遠い二者間距離から通常動作とフェイント動作で打撃し、防御者が防御する実験をした。そして、攻撃者の攻撃の成功率と、剣先の変位と速度を分析した。攻撃の成功率は、通常動作よりもフェイント動作の方が高かった。また、フェイント動作は距離によって成功率に変化がなく、通常動作は遠い距離で成功率が低くなっていた。剣先の変位は、通常動作とフェイント動作ともに遠い距離からの攻撃で身体を相手方向に移動してから竹刀の動作を開始していたこと、フェイント動作はさらに相手方向に移動してから竹刀の動作を終了していたことを示していた。つまり、遠い距離からは、防御者にどこが攻撃のターゲットかわからないようにするために打撃の動作を遅く開始していた。また、打撃中の剣先の速度は、通常動作よりもフェイント動作の方が高くなっていた。フェイント動作では竹刀をターゲットとは逆方向に一度動かすことになり、関節を屈曲する角度や移動可能な距離が大きくなることが打撃の速度を高めたと考えられた。このような動作のタイミングの調整や高い速度がフェイント動作での攻撃の成功率を高めたと推測できた。一方で、竹刀動作の開始から打撃の終了までの全体の攻撃時間は、通常動作よりもフェイント動作で長くなっていた。この結果はフェイントから打撃動作を遂行中に相手から反撃される可能性が高くなることを意味しているのかもしれない。