日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育心理学(偶数演題) ポスター発表

2022年9月2日(金) 11:00 〜 12:00 第一体育館バレーボール1 (第一体育館バレーボール)

[03心-ポ-30] 等速直線運動における遮蔽後の運動物体予測

斜め方向と水平方向の比較

*中島 弘毅1、新井 健之2、竹市 勝3 (1. 松本大学、2. 高千穂大学、3. 国士舘大学)

スポーツ活動中の身体運動制御には、物体の運動予測が必須となる。これまで物体の運動予測に対して、遮蔽後移動距離見越課題において竹市(2004)は予測速度低下現象を報告し、新井(2014)は見越距離短縮錯覚を起こすことを報告している。しかしながら、同課題における斜め方向に関しての運動予測については、これまで報告されていない。そこで本研究では、遮蔽後移動距離見越課題において斜め下方への移動物体において、どの様に予測するのかを明らかにすることを目的とした。実験方法は、自作ソフトウエアにより構築した仮想環境において、速度10deg/sで等速直線運動する物体(ボール)を提示した。被験者は、視力に異常がない健常な男子大学生6名である。被験者は、台で頭部を固定し、物体の追視を指示した。物体は視野の中心付近で、板の後ろに隠れる遮蔽条件において、運動速度を維持すると仮定し、遮蔽されたボールを仮想的に追視させた。遮蔽後、板変色までの物体の移動距離を板の目盛で回答させた。ボールの運動方向は、水平右方向と斜め45度右下方向を測定した。それぞれ遮蔽時間は、0.2s刻みで0.2,0.4,0.6,0.8,1.0sの5段階を設定し、20試行ずつ、計40試行を行ない、1次近似による平均速度(以下予測速度)を比較した。統計分析は、IBM SPSS Statistics28を用い、対応のあるサンプルのt検定を行った。実験の結果、予測速度は、水平右方向6.16±1.11deg/s、斜め右下方向4.45±1.82deg/sであった。水平右方向と比較して斜め右下方向の方が、低い傾向が見られた(n=6,p=0.125)。以上より、物体の運動予測は、水平右方向よりも斜め右下方向の方が、より運動速度を遅く(移動距離を短く)予測する可能性があることが示唆された。予測の下方向成分に重力加速度の影響が生じると仮定すると矛盾する結果となった。