日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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ポスター発表(専門領域別)

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体育科教育学 ポスター発表

2022年9月2日(金) 11:30 〜 13:00 第一体育館バレーボール2 (第一体育館バレーボール)

[11教-ポ-06] 大学生による体育・保健体育の考察

校種に着目して

*森田 啓1、高橋 浩二2、中島 早苗3、佐藤 和4、小谷 恭子5、河鰭 一彦6、畑 孝幸7 (1. 大阪体育大学、2. 長崎大学、3. 共立女子短期大学、4. 千葉工業大学、5. 帝塚山学院大学、6. 関西学院大学、7. 東海学園大学)

本研究は、これまで大学生が小中高校の体育・保健体育について思っていることを調査し、その内容を考察してきた。第70回大会では、大学の教養教育課程で開講している受講生を対象に調査し、第71回大会では教養教育課程に加えて専門教育課程、さらに女子大、工学系といった特徴のある大学生を対象に調査した。今回は前回の対象に加え、第71回大会の際に質問があった「小学校」「中学校」「高等学校」という学校の種別に着目し、複数の大学合計399名を対象に調査を実施した。調査項目は体育・保健体育の好き嫌い、得意不得意のほか、特に体育・保健体育の課題・問題点に焦点を当てている。学校体育の問題点については多くの指摘があるが、運動機会・アクセスへの格差は広がっており、運動能力・機会の二極化は前提として授業を構成する必要があると考えられる。そのなかで、いじめ、公開処刑といった経験はその後の社会生活への負の影響が先行研究によって危惧されている(Chad Jensen)。体育・スポーツ・健康を専門にする本学会においては、体育・保健体育の負の側面にも着目する必要があろう。
 調査結果であるが、「体育・保健体育を振り返って嫌だったこと、悪かったこと」という質問には、「特にない」という回答は小学校34.8%、中学校25.0%、高等学校33.0%にとどまっている。嫌いな種目をあげる学生が多くいたが、持久走に次いで中学・高校では「集団行動」が多かった。教師に関するコメントは数多くみられ、教育における教師の役割の大きさがわかる。さらに教育内容、評価、いじめ、公開処刑、服装、性に関する記述がみられた。大学生は批判的に小中高校の体育・保健体育について振り返り、考えることができるので、小中高校の体育・保健体育について受講した側からの意見に着目することは、大学生の教育活動にとどまらず、体育・スポーツ界への提言、示唆となることも期待できよう。