[06経-ポ-01] コロナ禍における体育実技の授業形態に関する一考察
新型コロナウイルス感染症が拡大された以降、オンライン授業と対面授業を組合せたハイブリッド型による教育が広く展開された。実技科目においては人と接することで得られる学習成果がオンライン授業では十分に獲得できないことが指摘されている。体育実技はその代表的な科目でもある。そこで本研究では、オンデマンド型、双方向型、対面型の体育実技全てを履修した43名を対象に体育実技に適した授業形態についてテキストマイニングにより明らかにする。結果、履修者が望む体育実技の授業形態については、対面型(82.5%)が最も多く、オンデマンド型(15.0%)、双方向型(2.5%)の順であった。対面型が望まれる理由の多くに、「運動や競技種目に対する楽しさ」、「運動不足の解消」、「体育実技を通してクラスメイトとの交流やコミュニケーション」を求めていた。一方、オンライン授業においては、授業内容がトレーニングに固定化されてしまうことや自宅でのトレーニングはスペースや振動など、家族や周囲への気遣いにより、十分に活動できない課題が生じた。運動に苦手意識がある履修者からは、オンデマンド型にて配信したトレーニング方法を繰り返し視聴し、授業内容の理解を促進できた意見も確認できた。履修者の体力・運動能力には差異があるため、トレーニング方法や競技の基礎的な技術などは、予習や復習に活用できるようオンデマンド教材としてシステム化することが学習支援の拡充につながると考えられる。体育実技は科目特性上、運動や競技種目など人との接触や交流を通して、身体の発育発達や健康増進、専門的な技能などを獲得することが学習到達度となる。加えて、コミュニケーションを通した仲間づくりやクラスづくりなど、学生生活の基盤となる活動にも寄与するため、新型コロナウイルス感染症禍においても学習成果が獲得できるよう感染対策に配慮した対面授業による教育活動の推進が望まれる。