[13ア-ポ-03] アンプティサッカー競技者における切断レベルとバランス能力の関係
【背景】先行研究では、下肢切断者は切断レベルによって義足装着率や歩行能力、転倒リスクに差があることが報告されている。下肢切断障害を有するアンプティサッカー競技者を対象とした研究では、低レベル切断群が高レベル切断群よりもゲームパフォーマンスに優位性があることを報告しており、切断レベルの違いが運動パフォーマンスに影響を及ぼしていることが報告されている。本研究では、アンプティサッカー競技者を対象に切断レベルとバランス能力の関係を検討することを目的とした。【方法】対象は男性アンプティサッカー競技者22名(片側大腿切断障害以上の選手10名、片側下腿切断障害以下の選手12名:平均年齢38.1±13.5歳、身長168.3±6.9 cm、障害歴21.6±10.1年)であった。すべての選手が整形外科的な疾患を過去 1 年以上有しておらず、少なくとも2年以上の競技歴を有していた。測定項目は、障害特性等の基本属性に加え、断端長(坐骨結節から断端末の距離)、足趾把持筋力、長座体前屈、立ち幅跳び、静的バランスには重心軌跡測定器(竹井機器工業,T.K.K.5810)を用いて30秒間における総軌跡長、外周面積を算出した。動的バランスには義足なし片脚立位でのFunctional reach test(以下、FRT)を測定した。統計解析はSPSSを使用し、各測定項目の平均と標準偏差を求め、各測定値間の関係性の検討にはPearsonの積率相関係数を用いた。また、大腿切断障害以上の選手と下腿切断障害以下の選手の2群に分け、バランス能力以外の要因を共変量とした共分散分析を実施した。各検定の有意水準は5%とした。【結果】FRTにおいて、大腿切断障害以上の選手の平均値28.9±5.2 cm、下腿切断障害以下の選手の平均値35.8±3.8 cmとなり、下腿切断障害以下の選手は、大腿切断障害以上の選手に比べて有意に高値であった(p=0.031)。切断レベルと総軌跡長、外周面積との間では有意な関係は認めなかった。【結論】アンプティサッカー競技者の切断レベルの違いが動的バランス能力に影響を与えることが示唆された。