アダプテッド・スポーツ科学　ポスター発表

[13ア-ポ-02] アンプティサッカー競技者におけるクラッチ操作を伴う走能力とロフストランドクラッチ長の関係

*Hidetada Kishi¹, Tomoki Ogawa¹, Hirofumi Maehana², Koya Suzuki¹ (1. juntendo univ., 2. Mejiro univ.)

【背景】これまで日本アンプティサッカー協会と連携し、「JAFAフィジカルフィットネスプロジェクト」の一環として体力測定を行ってきた。その中でも、走能力に関する研究において、直線走および方向転換走と筋パワーに関連があること、クラッチを用いた走能力が競技レベルを分別する要因であることなどアンプティサッカー競技者の体力特性が明らかとなりつつある。しかし、アンプティサッカー特有の競技特性であるロフストランドクラッチに着目した研究は数少ない。したがって、本研究の目的はクラッチ操作を伴う走能力とロフストランドクラッチ長の関係を明らかとすることとした。
【方法】男性アンプティサッカー競技者21人を対象とした。測定項目は、年齢、形態、障害等の基本属性、45°および90°の方向転換を伴う方向転換走（以下:CODタイム）、30m直線走（５m毎の走タイム）、立ち幅跳び、メディシンボールスロー、クラッチ長とした。COD指数（方向転換走テストの前後５mずつを切り取った走タイム）とクラッチ指数（尺骨茎状突起から床面までの長さとクラッチ長の比率）を算出し、統計解析に加えた。なお、各測定値間の関係性の検討にはPearsonの積率相関係数を用い、有意な関係を認めた項目を制御変数とした偏相関分析を行った。
【結果】Pearsonの積率相関係数の結果、各直線走タイムとクラッチ指数との間に有意な中程度以上の負の相関関係が認められた（r=0.417-0.561,p<0.05）。各CODタイムおよび各COD指数とクラッチ指数との間には有意な相関関係は認められなかった。また、CODタイムおよびCOD指数と相関関係が認められた年齢を制御変数とした偏相関分析の結果においては、各直線走タイム（r=0.537-0.637,p<0.05）および各 CODタイム（r=0.506-0.509,p<0.05）とクラッチ指数との間に有意な中程度以上の負の相関関係が認められた。各COD指数とクラッチ指数との間には有意な相関関係は認められなかった。
【結論】ロフストランドクラッチの長さはクラッチ操作を伴う走能力に関係していることが示唆された。