日本体育・スポーツ・健康学会第72回大会

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アダプテッド・スポーツ科学 ポスター発表

2022年9月2日(金) 13:00 〜 14:30 第一体育館バレーボール3 (第一体育館バレーボール)

[13ア-ポ-07] 新聞報道にみる第6回フェスピック北京大会(1994)

*章 雪1、近藤 雄大1、崎田 嘉寛1 (1. 北海道大学)

本研究の目的は、1994年9月4日から10日まで北京市で開催された第6回極東・南太平洋⾝体障害者スポーツ⼤会(フェスピック北京大会)が、どのように中国の新聞で報道されたのかを明らかにすることである。
 まず、中国国内で発行されたフェスピック北京大会に関する新聞記事を収集した。収集した記事を件数毎に示せば、17件(光明新聞)、11件(人民日報、北京日報)、3件(広州日報、解放軍報、新民晩報)、2件(中国スポーツ新聞、羊城晩報、新華社、広西日報)、1件(中青報、解放日報、連合晩報、中国新聞社、文匯報、明報)の合計62件である。
 次に、収集した新聞記事の内容をすべて日本語に翻訳して文字に起こし、テキストデータ化した。そして、このテキストデータを「KH coder」を使用して分析した。
 分析結果の一つである「頻出語」について、上位20語の中から特徴的な用語を抽出するとすれば、「練習」、「コーチ」、「チーム」、「金メダル」である。
 他方で、同時に用いられることが多い語が線で結ばれる「共起ネットワーク」も分析結果の一つとして作成した。この結果に基づいて、「練習」という言葉に着目し、新聞記事の内容を確認すると、怪我をする選手が多く、医者が練習の中止を要請する程の厳しい練習を課していたことが報道されている。しかし、「選手」という言葉に着目すると、国家の栄誉のためだけでなく、選手は自分の障害を克服するために、厳しい練習に耐え、金メダルを目指していることが読み取れる。また、「コーチ」という言葉に着目すると、障害者の社会復帰を促進させるために、コーチは選手を世界の舞台で平等に競争させたいという思いを背負っていたと窺える。
 本研究で明らかにしたフェスピック北京大会に関する新聞報道の特徴は、競技スポーツとして障害者スポーツを位置づけ、その指導体制が整備されていることを示唆している点であると推察された。