10:20 〜 10:34
[健康福祉-A-01] 転倒回避動作を伴う「とっさの一歩」誘発装置の検討(介,測,方)
若年者を対象として
【目的】転倒回避動作のステッピングストラテジーを誘発する測定法の考案を試みた。具体的には、立位姿勢で前方へ身体を傾けることにより足元が傾斜する装置を用いて、前傾姿勢から足の踏み出し(とっさの一歩)を誘発させ、①足を踏み出す反応時間、②踏み出し距離、③足の踏み出し速度を算出できる装置を整備した。本研究は、「とっさの一歩」誘発装置で測定できる3つの測定値と転倒予防と関連の深い体力・バランス能力測定値との相関を明らかにすることで、本装置の転倒回避能力測定法としての有用性について検討することを目的とした。【方法】対象者は、健康な若者40名(21.1±1.6歳)であった。測定項目は、「とっさの一歩」誘発装置の測定に加えて、 開眼・閉眼片脚立ち、長座体前屈、握力、FR、10m全力歩行、TUG、最大一歩幅、足指筋力、重心動揺であった。統計処理は、Pearsonの積率相関係数を用い、有意水準は5%未満とした。【結果】「とっさの一歩」誘発装置による踏み出し距離と右手握力(r=0.349、p=0.027)、足の踏み出し速度と右手握力(r=0.379、p=0.016)、左手握力(r=0.381、p=0.015)、最大一歩幅(r=0.336、p=0.034)、左足指筋力(r=0.343、p=0.030)に弱い正の相関が示された。さらに、足の踏み出し速度と10m全力歩行(r=-0.317、p=0.046)に弱い負の相関が認められた。【考察】転倒歴と握力には相関が示されている研究が多く、本装置における踏み出し距離と足の踏み出し速度には握力との相関関係が認められた。さらに、最大一歩幅や10m全力歩行などの移動能力と本装置における足の踏み出し速度にも相関関係が認められた。そのため、ステッピングストラテジーを伴う転倒回避能力について、本装置での踏み出し距離と足の踏み出し速度の値で検討できる可能性が示唆された。