日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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健康福祉研究部会 » 【課題A】健康増進につながる体力・運動の在り方をいかに考えるか

健康福祉研究部会【課題A】口頭発表②

2023年8月30日(水) 10:20 〜 11:04 RY302 (良心館3階RY302番教室)

座長:城所 哲宏(日本体育大学)

10:20 〜 10:34

[健康福祉-A-04] 対象者へコミットした有酸素性運動の健康運動処方(指導)(生)

5年間のフィールド測定及び生理学的実験より

*寅嶋 静香1、来田 宣幸2 (1. 奈良教育大学、2. 京都工芸繊維大学)

有酸素性運動の一つ、ウォーキングに纏わる健康運動処方の研究は、この40年間で4000本以上報告があり、総合的な体力向上へ寄与する有効な運動であると位置づけられている(吉田ら,2022)。一方で、積雪寒冷地在住者や、外出困難者は、健康増進の観点からも、自宅(室内)でも気軽に取り組むことができる、有酸素性運動の継続的な実践が求められる(寅嶋,2016)。そこで本研究では、後者へコミットした有酸素性運動として「バウンス運動(森谷ら,1999・脇本ら,2018)」を取り上げ、その動作メカニズムや実施前後のフィールド調査を行い、新たな知見集約に貢献することを目的とした。            
 この動作に対し、生理学的、動作学的、心理学的分野から、他の有酸素性運動との比較検討調査(フィールド)及び測定(実験室内実験)を実施した。また、バウンス運動と類似した運動の一つ、ワイドスクワット運動とも比較検討を行った。
 5年間(2016-2020)のフィールド調査及び生理学的実験より、バウンス運動は、世代を問わずに「(ワイドスクワット運動よりも長い時間)実施しやすい」「(楽しみながら)継続しやすい」との声が約8割に上り、特に30代~中高年世代での、外出しづらい状況下にある40代前後の継続率が高い状況(79%)にあった。生理学的検証実験からは、最大随意収縮(Maximum Voluntary Contraction,MVC)に対する大腿部の筋力発揮(%MVC)にて、バウンス運動は11%MVC、ウォーキングは約6%MVCであり、膝関節角度変化が前者が約33度に対し、後者は約56度であった。
 これより、筋力発揮がある程度担保され、かつ動作学的に負担度が少ないバウンス運動は、実施の継続性が担保されやすく、健康増進の目的を達成する上で、推奨しやすい運動であることが推察された。