[スポーツ文化-SA-3] 障害者スポーツを通じた国際協力の動向
期待と課題
<演者略歴>
早稲田大学スポーツ科学研究科博士後期課程修了後、現職に至る。日本財団パラスポーツサポートセンター・パラリンピック研究会研究員を兼職。研究テーマは、スポーツを通じた国際開発、スポーツ政策。
早稲田大学スポーツ科学研究科博士後期課程修了後、現職に至る。日本財団パラスポーツサポートセンター・パラリンピック研究会研究員を兼職。研究テーマは、スポーツを通じた国際開発、スポーツ政策。
近年、国際社会として「障害」の問題を捉え,障害者の選択肢拡大と権利向上が目指されている。障害者差別を禁ずる法律や条約の制定など,各国における障害に関する権利保障制度の進展に影響を受け、障害者スポーツも福祉政策からスポーツ政策への移管が進められている。現在では先進諸国のみならず,東南アジアやアフリカ地域など一部の途上国地域においても障害・非障害問わずスポーツ政策として公的サポートを得られるような体制整備が進められている。この政策的な変化を後押しするために、競技団体や各国政府,NGOらによって途上国地域に対する障害者スポーツに関する国際協力事業も行われている。パラリンピックなど障害者スポーツ国際大会の参加国・地域数の増加している一方、特に後発開発途上国にとっては国際大会への出場自体も困難である状態が続いていることを鑑みると、スポーツ参加をめぐる国際的な二極化構造は依存として深刻であり、また途上国内部においても格差が生じていることが考えられる。障害者スポーツ振興は、個人・集団・社会に障害に関する不平等是正に期待が寄せられているが、実際にどのような影響を及ぼしうるか、また限界性は何か議論したい。