日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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生涯スポーツ研究部会 » 【課題A】共生社会の実現に向けた生涯スポーツ政策と協働システムをいかに構築するか

生涯スポーツ研究部会【課題A】口頭発表①

2023年8月30日(水) 10:20 〜 11:04 RY305 (良心館3階RY305番教室)

座長:後藤 光将(明治大学)

10:50 〜 11:04

[生涯スポーツ-A-03] 総合型地域スポーツクラブの衰退・存続に関する事例研究(経)

*柴田 紘希1、清水 紀宏2 (1. 日本体育大学、2. 筑波大学)

少子高齢化や人口減少が急速に進むわが国では、これまでスポーツ振興を担ってきた行政や市場の役割が縮小し、地域におけるスポーツ環境の持続可能性が問われている。このため、行政や市場への依存から脱却し、これらに代わるスポーツ振興の担い手として地域スポーツクラブの育成が求められてきた。政策的には、総合型地域スポーツクラブ(以下、「総合型クラブ」とする)の育成が進められ、育成開始から四半世紀以上が経過している。しかし、近年ではクラブ数は減少傾向に転じ、解散・統廃合により消滅するクラブもみられる。これらのデータからは、わが国で地域スポーツクラブが存続していくことの困難さがみてとれる。地域スポーツクラブはなぜ存続が困難なのか、これが本研究の問いである。総合型クラブに関する研究では、クラブの存続に影響を及ぼす要因を設定し、成長あるいは衰退との関係を分析する仮説検証型研究がなされてきた。しかし、このアプローチは、なぜ・どのようにクラブは衰退するのか(あるいは存続するのか)、というプロセスやメカニズムを明らかにすることはできず、関連する重要な背景や文脈を見過ごす可能性がある。クラブにおいて生じる現象は、それらに関わる人々の相互作用の結果として生じる。このためクラブの衰退・存続メカニズムを考察するためには、人々の相互作用過程を詳細に記述する研究が求められる。そこで本研究では、クラブの時系列的過程(クラブヒストリー)の記述・説明を通じ、クラブの衰退・存続に関わるメカニズムを考察することを目的とする。調査は、関東地域に所在する総合型クラブを事例として、クラブ運営に関わる人物に対するインタビューと議事録等の関連資料の収集を行った。クラブヒストリーは、クラブの設立以前から現在に至るまでの期間を記述し、クラブの衰退・存続に関するメカニズムを考察した。なお、詳細な結果や得られた知見については発表において示す。