[生涯スポーツ-SA-2] 人生100年時代に人々のスポーツ権は保障できるのか
<演者略歴>
筑波大学体育科学研究科修了.博士(体育科学).名古屋学院大学教授を経て2021年4月より中京大学スポーツ科学部教授.2010~11:Indiana University 在外研究員.現在は,スポーツ庁の体力,運動能力,運動習慣等調査有識者委員会委員長などを務め,子どもの運動促進や体力向上,運動の社会,教育的効果などについて研究.
筑波大学体育科学研究科修了.博士(体育科学).名古屋学院大学教授を経て2021年4月より中京大学スポーツ科学部教授.2010~11:Indiana University 在外研究員.現在は,スポーツ庁の体力,運動能力,運動習慣等調査有識者委員会委員長などを務め,子どもの運動促進や体力向上,運動の社会,教育的効果などについて研究.
これまで,生涯スポーツ部会課題Cでは,スポーツ権の補償というテーマに対し,子ども,高齢者,中年などの年代区分,女性,障害者,元アスリートなどの背景の違いによるスポーツ実施の現状と課題を検討してきた.その中でスポーツに対する価値が多様であり,また,以前に比べて価値自体が変化してきている様子も見られた.例えば,高齢者では健康増進を主題としたものが多いが,子ども世代では,近年は体力向上や健康増進よりも,人間力や教育といったより根源的な子どもの成長へのスポーツの貢献が議論されてきている.女性や障害者では,パーソナリティや障害の程度による違いや障害者同士のつながりを大事にするなどの特有の価値も示された.また,元アスリートではスポーツを再定義することの必要性が示され,みんなのスポーツやユニバーサルスポーツといった枠組みでは,運動嫌いへの対応やセミフォーマルなスポーツとしての位置づけが示されるなど,スポーツの価値が一様ではなく,様々な価値を理解し,それに応える取り組みが必要であることが示されてきた.そこで,本発表ではこれらを整理し,これまでの公共施策で見直すべき点や我々研究者がそのために示していくべきエビデンスなどについて議論をしていきたいと思う.