日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題A】トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表①

2023年8月30日(水) 10:20 〜 11:19 RYB1 (良心館地下1階RYB1番教室)

座長:須甲 理生(日本女子体育大学)

11:05 〜 11:19

[競技スポーツ-A-04] 体操競技における宙返り技のひねりに関する発生運動学的考察(スポーツ運動学)

*山下 龍一郎1 (1. 鹿屋体育大学)

体操競技の宙返り技の指導を行う上で,ひねりが上手くかからないという現象に立ち会うことが少なくない.これは筆者も例外ではなく,跳馬における〈伸身カサマツとび1回ひねり〉(アカピアン)という技でひねりがかからない大学生男子選手3名の指導にあたっている.指導対象となる3名の特徴としては,〈伸身カサマツとび1/2ひねり〉までは高い習熟度を示すものの,「アカピアン」を実施しようとするとひねりがかからず,場合によっては空中分解してしまうというものである.「アカピアン」という技は側転とびで着手してから着地までにおおよそ7/4回ひねりを行うものである.対象者3名はゆかの〈後方伸身宙返り3回ひねり〉や〈前方伸身宙返り2回ひねり〉といった技については高度に習熟しており,宙返りひねりの技術を十分に習得していると考えられる.このことから,ゆかにおける宙返りひねりと,跳馬における宙返りひねりではその技術が異なる可能性が考えられる.ゆかの宙返りひねりは足で踏切をしてからひねりを仕掛けるのに対し,跳馬においては着手をしてからひねりを仕掛けることになり,こうした違いがひねり技術の違いに関係していると考えられる.また,対象者3名は,跳馬の〈伸身カサマツとび1/2ひねり〉を実施する際にはひねっている感覚がないが,ゆかの〈後方伸身宙返り3/2ひねり〉や〈前方伸身宙返り1回ひねり〉ではひねっている感覚があると報告している.これらの技のひねり数はほぼ同様であるにも関わらず,跳馬の宙返りの方はひねりとして感覚されていないということである. 本研究においては,対象者の「アカピアン」の修正事例を通し,ゆかにおける宙返りひねりと跳馬における宙返りひねり技術の差異性について考察し,宙返りひねりという現象そのものについて発生運動学の立場から分析することとする.