日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題A】トップアスリート養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題A】口頭発表②

2023年8月30日(水) 10:20 〜 11:19 RYB2 (良心館地下1階RYB2番教室)

座長:永野 康治(日本女子体育大学)

11:05 〜 11:19

[競技スポーツ-A-08] 空手組手競技における先取点獲得に有効な戦術(方)

*大徳 紘也1、松本 剛志1、大石 健二2 (1. 日本体育大学大学院、2. 日本体育大学)

空手組手競技は複数の動作からなる攻撃と防御技術により試合が展開され、有効な技を決めることによる得点数で勝敗を競うスコア競技である。組手競技における先取点は、同点で試合終了した場合に先取点を獲得していた選手を勝者とするルールがある。つまり先取点は1点という得点に加え、勝敗の判定基準の一つでもある。先取点は他の得点とは異なる効果を有すると同時に、優位に試合を展開していく上でも重要となる。大徳ら(2022)の報告により、国際大会における勝利した試合の70%が先取点を獲得 しており、先取点を獲得することは勝利に強く関連することが明らかとなった。しかし、先取点を獲得するために、どのような戦術を用いることが有効なのかは明らかにされていない。 そこで本研究は、先取点獲得のために有効な戦術に関する特徴について分析を行い、先取点獲得の可能性を高めるための戦術情報を明らかにすることを目的とした。分析対象は、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会にて実施された、空手組手競技全132試合の内、先取点が確認された124試合とした。各試合における試合開始または試合中断から再開後の先取点獲得時点までの、各技の頻度と経過時間について分析を行った。  本研究の結果、先取点獲得は試合開始から1分30秒以内の時間帯において85回(68.5%)確認された。先取点獲得までに技が繰り出されなかった試合が52試合(41.9%)と最も多く、次いで1回技を繰り出した試合が42試合(33.9%)であった。先取点獲得までに要した時間は、31-45秒が最も多く32回(25.8%)であった。  先取点獲得までの戦術は、先取点を狙う技までに複数回技を繰り出す戦術よりも、少ない技数で展開していくことが有効と考えられた。先取点は試合時間の半分までに獲得される頻度が高いが、所要時間まで考慮した先取点獲得の戦術プランが必要と考えられた。