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[競技スポーツ-C-09] フルマラソンの失速を事前のハーフマラソンの結果から予測できないか(方,生)
フルマラソンは身体に与えるダメージが非常に大きく、レース後半に失速や走行不能に陥ることもあり、レース後には筋肉痛が数日続き、日常生活遂行に困難をきたすこともある。それにも関わらず、わが国でフルマラソン(以下:フル)人気は非常に高い。フルにおける失速は、筋グリコーゲン低下、筋損傷、熱疲弊などが直接の原因となるが、さらに誘発要因として前半のオーバーペース、トレーニングの不足や失敗、環境因子などが考えられる。 ところで、市民ランナーだけでなく、トップランナーにおいてもフルの数週間前にハーフマラソン(以下:ハーフ)を走る機会は多い。そこでは、トレーニング目的としてだけではなく、フルでのペース戦略の確認なども行われている。 そこで本研究では、フルの失速を事前に予兆できないか、その可能性を探ることを目的に実施した。失速の要因として、ランナーの体力要因、オーバーペース、筋のダメージ、トレーニング状況、心拍数応答を検討した。 市民ランナー45名がこの研究に参加し、そのうちハーフとフルのいずれも完走した41名(男性30名、女性11名)を分析対象とした。41名うち18名は初フルに臨む大学生であり、残りの25名は過去にフル完走経験のある大学生または市民ランナーであった。対象者は2022年11月13日開催の第42回つくばマラソン大会と、その3週間前(同年10月23日)のハーフマラソン(非公認)に参加した。レース前にトレーニング記録、12分間走テスト(または最大酸素摂取量テスト)、レース中は胸部に心拍計を装着し、速度変化及び心拍数を記録した。またレース前後の体重計測、レース前日から1週間後にかけて身体各部の筋肉の痛み(張り)を10段階で評価した。その結果、フルの失速には、持久力、トレーニング状況に関係は認められず、心拍数のドリフトと関連し、そのドリフトは事前のハーフにおいても認められた。