日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題C】ハイパフォーマンススポーツ(トップレベルの競技スポーツ)におけるトレーニングをいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題C】口頭発表③

2023年8月30日(水) 11:25 〜 12:24 RY103 (良心館1階RY103番教室)

座長:丹治 史弥(東海大学)

11:55 〜 12:09

[競技スポーツ-C-11] フルマラソンタイムに影響する要因の走力および大会別の検討(生)

北海道マラソンとつくばマラソン参加男性ランナーを対象とした解析

*井上 恒志郎1、山口 明彦1、福家 健宗1、鍋倉 賢治2 (1. 北海道医療大学、2. 筑波大学)

フルマラソンのタイムは年齢や体格、トレーニング状況など様々な要因と関係があり、近年はこれらの要因からタイム予測も行われている。しかし、走力やレース環境、特に気温の違いを考慮した検討は行われておらず、タイム向上を目指す上で重要となる要因が走力や気温で異なるのか、また共通して重要な要因が存在するのか不明である。この課題解決に向けて、本研究は2022年の北海道マラソン(道マラ、8月下旬、25.6/22.6 ℃)とつくばマラソン(つくマラ、11月中旬、23.0/14.2 ℃)参加男性ランナーを対象にアンケート調査を実施し、タイム影響要因の走力別の検討を行った。アンケートでは、ゼッケン番号、過去3年以内のフルマラソンタイム(持ちタイム)、年齢、BMI、走歴、練習頻度、月間走行距離、60分または10 km以上走る際の練習時ペース、最長1回練習距離、30 kmペース走の実施状況を調査した。レース後、ゼッケン番号からネットタイムを確認し、ペース配分の目安として30 km以降のペース低下率を算出した。有効回答数は道マラ581人、つくマラ690人で、解析に必要なサンプル数確保のため、回答数が少ない道マラの持ちタイムを基準に上位(<3:40:00)、中間(<4:15:00)、下位(≧4:15:00)の走力群に分けて重回帰分析(p<0.05)を行った。解析の結果、練習時ペースや30 km以降のペース低下率、年齢、月間走行距離は走力や気温に関係なくタイム影響要因となること、走力上位群と中間群では気温による顕著な違いはみられないものの上位群ではBMIがタイム影響要因となることが確認された。また走力下位群では気温による差異がみられ、道マラでは走歴が、つくマラでは30 kmペースの実施状況がタイム影響要因となることが確認された。