日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題A】大学体育の授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題A】口頭発表③

2023年8月30日(水) 11:25 〜 12:09 RY201 (良心館2階RY201番教室)

座長:大林 太朗(筑波大学)

11:40 〜 11:54

[学校保健体育-A-10] 大学体育の多様な可能性の追求(哲)

スノースポーツを対象にした研究と関連づけた取り組み

*森田 啓1、佐藤 和2、中島 早苗3、戸枝 美咲4、小谷 恭子5、河鰭 一彦6、高橋 浩二7、畑 孝幸8 (1. 大阪体育大学、2. 千葉工業大学、3. 共立女子短期大学、4. 日本女子大学、5. 帝塚山学院大学、6. 関西学院大学、7. 長崎大学、8. 東海学園大学)

大学体育とは何か。最初に考えるべきことは「体育」であって「スポーツ」ではない。自ら主体的、自主的に行うスポーツや体育系サークル等での活動ではなく、カリキュラムに組み込まれた「体育(あるいはスポーツ科目」)である。さらに「大学」の体育であって、小学校・中学校・高等学校の体育科・保健体育科の授業とは異なる。学校教育法や機関の位置づけに注目した場合、初等教育、中等教育と比較した場合の大学の特徴のひとつは「研究」である。高等学校が「教育機関」であるのに対して、大学は「教育研究機関」である。研究と関連づいた、あるいは研究に向かった取り組みであれば、大学教育としてふさわしい内容といえるだろう。林英彰は、大学体育は友人づくりや健康のためといった大学教育の前提的・予備的位置づけではなく、究極の目的をめざすべきと指摘した。それにはいくつかの可能性があるが、本研究では「研究」ととらえる。  大学体育において身体活動(実技)は重要である。しかし、経営難の大学が増加している現状を考えれば実技のアウトソーシングも危惧される。AIと関連づけたカリキュラム以外の活動としても実施可能となろう。だが、体育はphysical educationの和訳語を語源とし、身体に関連した教育を指す。身体に関係しない研究領域はないといっても過言ではないし、本研究で対象とするスノースポーツ(以下:SS)もスポーツ科学だけではなく、多くの研究領域と関係する。たとえば物理学、化学、社会学、環境科学、機械工学、ロボット工学、など。大学体育は身体活動(実技)だけでなく、講義や演習科目としても多様な可能性を有すると考えられる。講義や演習に基づき、それに関連した実技が必要になるケースも考えられよう。本研究では、SSの受講生にSSと研究について検討してもらい、大学体育の従来とは異なる可能性について考察する。