日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表①

2023年8月30日(水) 10:20 〜 11:19 RY202 (良心館2階RY202番教室)

座長:末永 祐介(熊本大学)

10:35 〜 10:49

[学校保健体育-C-02] 水中を歩きながら泳動作を行うウォーキングスイムは平泳ぎの技能獲得に有効である(教)

*山村 涼乃1、豊田 郁豪2、原 英喜3、森山 進一郎3、杉田 渚颯1 (1. 東京学芸大学大学院教育学研究科、2. 東京学芸大学大学院連合学校教育学研究科、3. 東京学芸大学)

【背景】ウォーキングスイムとは、水中を歩きながら、上肢や呼吸の動作の練習を行うため、学習課題を細分化して学習する分習法といえる。水泳時には実際の動きを認識しづらい(坂口・合屋, 2021)ことに加え、平泳ぎは近代四泳法の中でも比較的上肢と下肢の動作のタイミングが複雑である。そのため、平泳ぎ初心者の平泳ぎ技能修得法としてウォーキングスイムの有効性が期待できる。そこで本研究では、平泳ぎの習得におけるウォーキングスイムの有効性を検証することを目的とした。【方法】水泳教室に参加した児童10名(男子8名、女子2名)を対象に、1回当たり15分間のウォーキングスイム指導が2日間実施され、指導前後に水中側面からの25m平泳ぎの撮影が、また指導後にアンケート調査がそれぞれ実施された。指導前後の平泳ぎの泳動作は、先行研究を参考に7項目の観察的動作評価基準を用いて、「できた or できなかった」の2段階で評価されてマクネマー検定を実施し、合計得点の差の検定にはウィルコクソンの符号順位検定を行った。【結果】指導の結果、「腕の動作は左右対称に行う」のみ有意な改善が認められた。合計得点は、指導前(2.3点)より指導後(4.6点)が有意に改善した(p=0.007, r=0.89)。【考察】ウォーキングスイムでは、自分の上肢の動きを目視できたり、細分化された動作に集中して練習できたりしたことから、正しい動作の確認を容易にした可能性がある。ウォーキングスイムを経験した後の参加者に、「たくさん泳げるようになった」、「腕に集中して練習できた」や「コツがつかめた」のような、ウォーキングスイムの有用性を実感しているコメントが確認された。【結論】ウォーキングスイムは、左右対称の腕動作の習得に有効であることが明らかになった。それゆえ、未熟練者の平泳ぎにおける上肢動作の改善に資する指導法の1つとしての活用が期待される。