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[健康福祉-B-01] 近赤外分光法を用いたヒト運動抑制機能への軽運動の影響(生)
前頭葉の持つ運動抑制機能に対する運動強度の影響について近赤外スペクトロスコピー(Near-infrared spectroscopy: NIRS)を用いた実験を行った。運動抑制機能を測る方法として、Go/No-go taskを用いた。Go/No-go taskは、2種類の刺激を被験者に無作為に与え、1つの刺激をGo刺激とし、その刺激が呈示された際には被験者が反応動作を実行し、もう一方のNogo刺激が呈示された際には反応動作を実行しない、という課題である。被験者には、二つの実験(安静条件・運動条件)を行ってもらった。安静条件では、まず安静時Go/No-go taskを行い、そのまま15分間座位のまま安静状態を保ってもらい、その後再びGo/No-go taskを行った。運動条件では、安静条件同様にまずGo/No-go taskを行った。その後、10分間の自転車運動を行ってもらい、その後再びGo/No-go taskを行った。このときの運動強度は、30%強度とした。この運動強度を決定する方法として、カルボーネン法を用いた。カルボーネン法は、最大心拍数と安静時心拍数を用いて運動強度を推定する方法である。実験の結果、10分間の自転車運動を行った運動条件では運動の前後でNo-Go刺激に対する反応の増大が見られた。一方、運動を行わずにいた安静条件では安静の前後でNogo刺激に対する反応に変化は見られなかった。先行研究より、ある程度の強度で行われる運動は、ヒトの運動抑制機能に影響を与えていることが分かっている。また、今回の実験ではNIRSを右前頭前野を測定できる部位に設置している。右前頭前野は、ヒトの運動抑制機能の責任部位である。今回の実験により、軽強度の運動においてもヒトの運動抑制機能に影響を与えることが示唆された。