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[健康福祉-B-04] 非利き手による筆記作業が注意機能に及ぼす影響(介)
【背景及び目的】先行研究において、利き手よりも非利き手による筆記作業の方が、より前頭部の血流量を増加させることが報告されているが、注意機能に及ぼす影響までは十分に検討されていない。本研究では、非利き手による筆記作業が注意機能に及ぼす影響を利き手と比較することで検討を行った。【方法】対象者は、健常な若年男女38名(男性22名、女性16名、年齢20.1±1.4歳、全員右利き手)である。実験は、利き手条件の日と非利き手条件の日を無作為に振り分け、計2日間実施した。注意機能の測定には、ストループテスト及びtrail making test(TMT)のpartBを用いて行った。ストループテストは、color naming(CN)課題、incongruent color naming(ICN)課題の2つの課題とした。ストループテストとTMTは、連続で5回ずつ測定し、最高値と最低値を除く3回の平均値を算出した。筆記作業の内容は、利き手もしくは非利き手で、マス目が描かれたシートに鉛筆で5分間丁寧できれいな文字を書くこととした。文字は平仮名、片仮名、アルファベット等を中心に対象者の任意とした。筆記作業後、再び注意機能の測定を行った。【結果】CN課題及びICN課題のいずれも、測定時間は利き手条件と非利き手条件でともに有意に短縮した。TMTの測定時間も、利き手条件と非利き手条件でともに有意に短縮した。ストループ干渉の大きさを示すICN課題とCN課題の測定時間の差(干渉時間)は、利き手条件、非利き手条件ともに有意な差はみられなかった。また、利き手条件と非利き手条件との間で、筆記作業の前後におけるCN課題、ICN課題、TMTの測定時間の変化量に有意な差はみられなかった。【結論】利き手及び非利き手による筆記作業は、一時的に注意機能を改善させることが示唆された。