[スポーツ文化-SC-3] 多様な個を包摂する組織化と制度化によるスポーツ文化の浸透に向けた理論的検討
<演者略歴>
山梨学院大学スポーツ科学部教授。博士(体育科学)。株式会社セリエ、日本スポーツ振興センター、筑波大学体育系特任助教、山梨学院大学スポーツ科学部准教授を経て2023年から現職。同大学カレッジスポーツセンター副センター長兼務。専門はスポーツ社会学。主にサッカーを中心としてドイツや日本のスポーツ組織を研究。
山梨学院大学スポーツ科学部教授。博士(体育科学)。株式会社セリエ、日本スポーツ振興センター、筑波大学体育系特任助教、山梨学院大学スポーツ科学部准教授を経て2023年から現職。同大学カレッジスポーツセンター副センター長兼務。専門はスポーツ社会学。主にサッカーを中心としてドイツや日本のスポーツ組織を研究。
本発表では、本企画の1年目で指摘された「スポーツ文化は保存できない」という視点から、スポーツ文化の構成要素は社会や時代によって変化するものであることを前提として、本企画の2年目に指摘された「スポーツ実践における身体から身体への(「心」を含めた)伝承・継承」といった極めて個人的かつローカルな場での伝承・継承を、その個別性かつ多様性を維持しながら、いかに広げていくことができるのかを、制度や組織との関係から考えてみたい。発表者は、多様なスポーツ愛好者の組織化についてドイツや日本のサッカーを主な事例として研究をしている。その中で、ガース&ミルズ(1970)が示した『性格と社会構造』の理論を中心にして、制度論、組織論、社会化論等も援用しながら、多様なスポーツ愛好者を包摂する制度をスポーツ組織が主体となって生成していく必要性を指摘してきた。これらの議論や理論は、極めて個人的なもの(性格)と組織や制度との関係を把捉する視点を有していることから、先に示したような個別具体のスポーツ文化の伝承・継承をいかに組織や制度として広げていくことができるのかという点に関して、有用な示唆をもたらすものだと考えている。