09:15 〜 09:29
[スポーツ文化-B-06] 現代農山村における地域スポーツの予備的考察(社)
近年、地域社会で行われるスポーツに対し地域活性化や健康増進、コミュニティ形成といった多様な価値が付与されるなか、「総合型地域スポーツクラブ」等の制度的整備が進められている。一方こうした制度の前提となる自立的な個人像に対し、とりわけ農山村における齟齬がかねてより報告されてきた(後藤,2008;中島,2003)。
一方、制度的変革を目指す「市民社会論」(佐伯,2014,p.43)の立場から、「地域住民の生活構造」(水上・黒須,2016,p.556)から地域スポーツを論じる研究は、現行のスポーツ政策の再構築につながる議論にはならないとして批判されている。
本報告は、今日のスポーツ政策における新自由主義的性格が指摘されている点(小林,2013)などから市民社会論的立場の重要性を認識しつつ、しかしこうした立場を強調することで見逃してしまう現実もあるのではないかという問題意識から端を発している。制度的な枠組みとは別に、自発的に地域のスポーツ活動を創出する営みが農山村を対象にした研究では言及されてきたし(今野,1992;松岡,1991;中田,1993など)、そうした営みは現在でも確認できるのである(村田,2020など)。
制度的整備が進むなかでこうした営みはなぜ行われるか。その論理を掬い上げることは、「自立しえない」農山村住民が市場合理的な「安上がりの統治」(石坂,2012,18)を回避する条件を明らかにすることにつながるのではないか。
本報告は、今日の農山村においてローカルな文脈の中で創出されるスポーツ活動の論理を明らかにするという課題に対し地域スポーツ研究を再構成するならば、いかなる分析枠組みが必要となるのかを提出することが目的である。
一方、制度的変革を目指す「市民社会論」(佐伯,2014,p.43)の立場から、「地域住民の生活構造」(水上・黒須,2016,p.556)から地域スポーツを論じる研究は、現行のスポーツ政策の再構築につながる議論にはならないとして批判されている。
本報告は、今日のスポーツ政策における新自由主義的性格が指摘されている点(小林,2013)などから市民社会論的立場の重要性を認識しつつ、しかしこうした立場を強調することで見逃してしまう現実もあるのではないかという問題意識から端を発している。制度的な枠組みとは別に、自発的に地域のスポーツ活動を創出する営みが農山村を対象にした研究では言及されてきたし(今野,1992;松岡,1991;中田,1993など)、そうした営みは現在でも確認できるのである(村田,2020など)。
制度的整備が進むなかでこうした営みはなぜ行われるか。その論理を掬い上げることは、「自立しえない」農山村住民が市場合理的な「安上がりの統治」(石坂,2012,18)を回避する条件を明らかにすることにつながるのではないか。
本報告は、今日の農山村においてローカルな文脈の中で創出されるスポーツ活動の論理を明らかにするという課題に対し地域スポーツ研究を再構成するならば、いかなる分析枠組みが必要となるのかを提出することが目的である。