日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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スポーツ文化研究部会 » 【課題B】人々の生活に根ざした多様なスポーツ文化をいかに醸成していくか

スポーツ文化研究部会【課題B】口頭発表②

2023年8月31日(木) 09:00 〜 09:59 RY304 (良心館3階RY304番教室)

座長:加藤 えみか(京都産業大学)

09:45 〜 09:59

[スポーツ文化-B-08] eスポーツプレー時のチームワークを生み出すオキシトシンと心拍同調(心)

*髙木 祐多1、髙橋 史穏1、松岡 弘樹1、土橋 祥平1、船橋 大介1、吉武 誠司1、坂入 洋右1、三嶋 達典2、山田 晋三1、高木 英樹1、松井 崇1 (1. 筑波大学、2. 茨城県)

スポーツを含む人間活動にチームワークは不可欠である。チームワークは、活動前の絆ホルモン・オキシトシン(OT)レベルや、協働時の生理的同調により評価・強化されうるが、スポーツ時のそれらは身体運動を伴うことから評価しにくく、強化策も未発達な現状がある。この解決には、ビデオゲームの対戦による電子スポーツ(eスポーツ)が有効かもしれない。本研究では、実際のeスポーツ大会におけるチームプレー時の心身応答から、チームワーク発揮の生理心理基盤に迫ることを目的とした。一人称シューティングの大学対校eスポーツ大会を2日間に渡って対面開催し、4チームの男子大学生プレーヤー22名(1チーム5-6人、20.1±1.7歳)が総当たりで勝敗を競った。1試合は約2時間で、プレー中の会話や戦術のやりとりに特別な制限は設けなかった。ゲームスタッツ(ショット的中数、アシスト数、ラウンド毎ダメージ等)、心拍数、そのチーム内同調レベルを常時記録しながら、試合前、終了直後、終了30分後に唾液OT濃度、心理的絆指標(IOS、チームフロー尺度)、個人の気分(TDMS)を測定し、勝敗間を比較した。ショット的中数などの個人技能には勝敗間の差がなかったが、チームワーク指標となるアシスト数とラウンド毎ダメージは勝利条件で高かった。このとき、OTは勝利条件で試合前から終了30分後まで常に高値を示した。試合中の心拍数は、勝利条件で平均値、最高値、同調レベルともに高く、特にプレー外時間(ハーフタイムと終了後)に同調した。IOS、チームフロー、TDMS得点も勝利条件で高かった。OTレベルは、心拍同調レベル、IOS、アシスト数とそれぞれ正の相関を示した。本研究により、eスポーツプレー時のチームワークがOTによる心拍同調を通じて生み出される可能性が初めて確認された。OTや心拍同調を標的としたチームトレーニングの開発が望まれる。