日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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生涯スポーツ研究部会 » 【課題B】生涯スポーツは・人・地域社会・産業といかに関連するか

生涯スポーツ研究部会【課題B】口頭発表①

2023年8月31日(木) 09:00 〜 09:44 RY305 (良心館3階RY305番教室)

座長:川邊 保孝(東海大学)

09:00 〜 09:14

[生涯スポーツ-B-01] 乗馬を伴わない馬との触れ合い活動の有効性の検討(介)

人馬のウェルビーイングを効率的に推進するための手法の開発

*高見 京太1、佐野 竜平1、柏村 晋史1、深野 聡2 (1. 法政大学、2. 日本障害者乗馬施設フューチャーバレー)

乗馬などの馬との触れ合い活動が、心や身体に良い影響を与えることは、いくつかの先行研究が確認しており、今後さらに広まることが期待されている。しかし、人を馬に乗せるには、馬に関する専門的な知識や技術が必要であるのに加え、活動を提供する側の馬と人の負担が大きいため気軽に実施できない。そこで本研究は、活動提供者側の負担が少ない、体験乗馬を伴わない触れ合い活動の有効性を検討することを目的とした。
対象としたのは、筆者らが開催した乗馬を伴わない馬との触れ合い活動(乗馬なし)と、体験乗馬を伴う馬との触れ合い活動(乗馬あり)の運営に携わった馬術部部員に、ライフコーダEX(スズケン社製)を装着して活動強度と歩数を計測した。また、触れ合い活動への参加者に対しては、活動の開始前と終了後に、一般感情尺度(24問・4段階)をGoogle Formsによって回答させた。
結果は、乗馬なしは2022年7月に12人、9月に9人の参加を得て、のべ10人の運営によって行い、いずれも所要時間は60分であった。また、乗馬ありは2023年5月に9人の参加を得て、10人の運営によって行い、所要時間は125分であった。活動強度は、乗馬あり(1.6±0.3Mets)の方が、乗馬なし(1.4±0.1Mets)よりも有意に高かった。また、歩数は所要時間が長い、乗馬あり(3272.0±1227.9歩)の方が、乗馬なし(1038.0±163.8歩)よりも多かったが1時間あたりの歩数に換算しても、乗馬ありの方が有意に多かった。活動への参加者の一般感情尺度は、乗馬ありと乗馬なしともに、「肯定的感情」と「落ち着き」は有意に向上したが、「否定的感情」は、乗馬なしのみが有意に減少した。以上のことから、乗馬を伴わない馬との触れ合い活動は、乗馬を伴う活動よりも、それを提供する側の負担は小さいが、参加者の感情に与える良い影響は、概ね同様であった。