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[生涯スポーツ-B-02] 幼稚園・認定こども園で展開されるインクルーシブな幼児体育指導の現状と課題(ア,発)
専門指導者の意識とスキルに着目して
近年、小学校を対象に教師の指導能力の観点からインクルーシブ体育を検討した報告が増えている(萩原・木原 2021)。しかし、幼児教育と小学校教育の接続期が注目される中にあっては、児童期に比べて、幼児期におけるインクルーシブな幼児体育に関する報告が少ない。幼児期の運動指導については、半数以上の私立幼稚園が企業から派遣される専門指導者を活用しているとの報告がある(吉田ら2007;柳田 2008)。本研究では、幼稚園や認定こども園で幼児体育を専門に指導する派遣指導者のインクルーシブ体育に関する意識とスキルの観点から、現状と課題を明らかにすることを目的とした。幼児体育指導者の派遣会社5社に依頼し、各社に所属する指導者を対象に、インクルーシブ教育への態度を測定した「SACIE-R」(Forlinら2011)とインクルーシブ教育実践の自己効力感を測定した「TEIP」(Sharmaら 2012)を援用した29の質問項目からなるweb調査を実施した。回答者119名の内、障害のある子どもを含む指導に携わった者は93.3%であった。一方、これまで障害児理解に関する学習を経験した者は57.1%であった。「SACIE-R」の懸念、態度、感傷の3次元、及び「TEIP」の行動制御、指導、協働の3次元はそれぞれ4つ~6つの質問項目を持った。合計29の質問項目にクラスター分析(ウォード法、平方ユーグリット距離)を施し、119名の指導者を3つのクラスターに分けた。次に、6次元毎に主成分分析を適応し、得られた第1主成分得点を用いて、3つのクラスターを比較した。「円滑対応型」(n=15)、「困惑型」(n=29)、「標準対応型」(n=72)と解釈した。困惑型は、インクルーシブ教育に非積極的な姿勢を示す、懸念、感傷が高い(髙橋ら 2014)。回答者の25%は、インクルーシブな幼児体育指導に憂慮が高いことを示唆した。