日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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競技スポーツ研究部会 » 【課題B】競技スポーツにおけるコーチ養成をいかに効果的に行うか

競技スポーツ研究部会【課題B】口頭発表①

2023年8月31日(木) 09:00 〜 09:59 RYB1 (良心館地下1階RYB1番教室)

座長:高橋 義雄(筑波大学)

09:30 〜 09:44

[競技スポーツ-B-03] 小学校低学年のサッカーにおける団子状態の形成契機(方)

*寺田 進志1 (1. 大阪国際大学)

サッカーのゲーム位相は瀧井(1988;1990,p.80;1995;2003)によってまとめられている。このゲーム位相の第一位相は密集とされている。プレーヤーがボールに集まってしまい、団子のような外形が捉えられることから、第一位相は団子状態とも呼ばれる。そして、このような状態で試合が展開されるサッカーは通俗的には団子サッカーと呼ばれる。
 指導者の間では、団子サッカーの良し悪しは二分される。そのような中、「なぜ、団子状態が形成されるのか」に関する学術的議論は見受けられない。この素朴な問いは「いつ、どのように団子状態から脱却させるか」の問いに繋がり、延いてはプレーヤーの競技力向上やサッカー指導に関係する。
 団子状態が形成されてしまうことを、(とりわけ、子どもや初心者のサッカーでは)「そういうもの」と受け入れることや無自覚のうちに瀧井のゲーム位相論を受け入れることを、一旦、「括弧入れ」することで、新たな知見を得ることができると考えられる。
 そこで本研究では、スポーツ運動学(金子,2009)の立場から小学校低学年のサッカーを分析することによって、団子状態の形成契機を明らかにすることを目的とする。
 分析の結果、以下の四つの契機を明らかにすることができた。
1)ボールを奪う意識
2)競技力(達成力)のレベル
3)指導者の指導
4)ゲームのオーガナイズ
 小学生低学年のサッカー指導において、指導者がどのような目標像を形成するかは、子どもたちの競技力に大きな影響を与える。団子サッカーの良し悪しではなく、指導者は目の前の子どもたちは「どこを目指しているのか」、あるいは「どこまで目指せるのか」といったことを熟考し、目標像を形成して指導することが重要であると考えられる。本研究で得られた知見が現場に生かされることを願う。