09:30 〜 09:44
[競技スポーツ-C-23] 体操競技における〈変形車輪〉に関する発生運動学的考察(方)
脈々と進歩を続ける体操競技の発展は、選手・指導者の絶え間ない技術開発に支えられてきたといっても過言ではない。高度化した現在の体操競技においても、新しい技が国内外の競技会で発表されることは珍しくない。特に近年、男子体操競技の鉄棒種目では新しい技の開発がめざましく、その度に採点規則における難度表の最高難度が書き換えられている。2023年現在の男子体操競技最高難度は、日本の宮地秀享選手が2017年カナダで開催されたモントリオール世界選手権大会で成功させた鉄棒における<ミヤチ>のI難度である。上記のように、現在も技の高度化が進む鉄棒ではあるが、この種目を構成する基本技として<後方車輪>と<前方車輪>が存在している。鉄棒における<後方車輪>と<前方車輪>はどちらも2023年現在、採点規則上では最も難度価値の低いA難度技ではあるが、それぞれ様々な発展技につながる基本かつ重要な技の一つである。また、これら二つの<後方車輪>と<前方車輪>は演技中、他の技との組み合わせにおいて開始局面や終末局面が多様に変化することも多い。これ以降、本研究においてはこのような開始局面や終末局面が多様に変化する<後方車輪>や<前方車輪>を総じて<変形車輪>と表記する。
現在の鉄棒種目において、様々な場面でこの<変形車輪>が疑問の余地なく用いられているが、<変形車輪>の容認条件の枠組みが確認されないまま、ある技の<変形車輪>は容認され、別の技の<変形車輪>は容認されないという曖昧さが内包されている。
そこで本研究発表では体操競技の史的考察を通し、<変形車輪>が体操競技において容認される枠組みを確認し、現在の<変形車輪>が内包する問題点を発生運動学的立場から提示することで、体操競技のトレーニング現場に新たな問題意識を提起する。
現在の鉄棒種目において、様々な場面でこの<変形車輪>が疑問の余地なく用いられているが、<変形車輪>の容認条件の枠組みが確認されないまま、ある技の<変形車輪>は容認され、別の技の<変形車輪>は容認されないという曖昧さが内包されている。
そこで本研究発表では体操競技の史的考察を通し、<変形車輪>が体操競技において容認される枠組みを確認し、現在の<変形車輪>が内包する問題点を発生運動学的立場から提示することで、体操競技のトレーニング現場に新たな問題意識を提起する。