日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

講演情報

テーマ別研究発表

生涯スポーツ研究部会 » 【課題C】人生100年時代に向けていかに人々のスポーツ権を保障するか

生涯スポーツ研究部会【課題C】口頭発表①

2023年8月31日(木) 09:00 〜 09:44 RY201 (良心館2階RY201番教室)

座長:中野 貴博(中京大学)

09:30 〜 09:44

[生涯スポーツ-C-03] 男子高校生における運動部活動の早期離脱と学校生活ウェルビーイング、ストレス対処力の縦断的関連(介,方,発,心)

*神藤 隆志1,2、北濃 成樹2、永田 康喜3、中原 雄一4、具志堅 武5、鈴川 一宏6、永松 俊哉7 (1. 大阪教育大学、2. 明治安田厚生事業団体力医学研究所、3. 筑波大学体育系、4. 福岡県立大学人間社会学部、5. 神奈川大学人間科学部、6. 日本体育大学体育学部、7. 山野美容芸術短期大学)

青年期のスポーツ参加は、身体活動保持に貢献し、心身の発達への好影響が期待される。一方、スポーツ組織からの離脱は、その後の不健康状態と関連する可能性がある。しかし、離脱の影響は欧米諸国中心に研究されており、わが国の運動部活動対象の研究は不十分である。本研究は、男子高校生における運動部活動の早期離脱と学校生活ウェルビーイングやストレス対処力との縦断的関連を明らかにすることを目的とした。
福岡県の私立男子高校に通う1年生全員928名を対象とした。調査は、1~3年次(2017~2019年)の5月と3年次の10月の4時点で行った。3年次までの運動部活動への参加状況を調査し、非所属者299名、所属者213名、早期離脱経験者37名を分析対象とした。2年生の終わりまでの退部を早期離脱と定義した。学校生活ウェルビーイングは当該尺度における3下位因子(学校生活充実度、学業遂行度、進路選択順調度)、ストレス対処力はSOC3スケールの得点を用いた。分析には群×時間の二要因分散分析を用いた。
学校生活充実度と進路選択順調度で統計的に有意な交互作用が確認された。単純主効果の検定において、学校生活充実度では、3年次の5月、10月時点で、早期離脱経験者よりも所属者の方が有意に良好な値であった(各時点の両者の得点:36.6対37.8、35.9対38.1、33.2対39.0、36.4対39.7)。進路選択順調度では、3年次10月時点で、早期離脱経験者よりも所属者の方が有意に良好な値であった(24.8対24.8、24.2対24.3、26.1対27.5、26.5対28.8)。これらの項目において、非所属者と早期離脱経験者の間で有意な差は観察されなかった。
男子高校生の運動部活動からの早期離脱は、重要な発達課題である学校生活充実度や進路選択順調度に負の影響を及ぼす可能性があることが示唆された。