日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題C】体育・スポーツ健康科学は学校保健体育の進展にいかに貢献できるか

学校保健体育研究部会【課題C】口頭発表③

2023年8月31日(木) 09:00 〜 09:59 RY202 (良心館2階RY202番教室)

座長:木島 章文(山梨大学)

09:30 〜 09:44

[学校保健体育-C-11] 小学校体育科における運動有能感が低い児童の学習観察と運動支援(教,発)

受容感を育む関わりを通して

*金子 泰子1、橋爪 和夫2、阿尾 昌樹3、勝島 貴士4 (1. 富山国際大学、2. アール医療専門職大学、3. 射水市立大門小学校、4. 富山市立浜黒崎小学校)

【目的】本研究は、小学校体育科において、教員や仲間からの言葉がけや関わりが児童の運動有能感、とりわけその中でも受容感、統制感を高めるという仮説を検証することである。
【方法】2023年2月〜3月にかけて、富山県T小学校に在籍する5年生42名を調査した。岡澤らによる運動有能感調査の合計点が学年の平均値以下で、集団の中でも特に低い値を示し、かつ、新体力テストの合計点が集団内の平均値に近い児童3名を抽出した。小学校教員を志望している大学生を9人、抽出した5年生の児童3人の正課体育学習支援者として学校長の許可を得て体育科の授業に参加させた。大学生は、抽出児童3名を中心に、体育授業中のクラス全員の児童に積極的に励ましや、取り組みや成長を認める言葉かけや関わりを行った。授業終了後に体育学習支援者から抽出児童3名との会話の記録を取り、内容を記録した。学習支援者が介入した授業はバスケットボールの授業で、合計8回であった。
【結果】授業介入後に実施した運動有能感調査の結果から、抽出児童3名のうち、2名の合計点が授業介入前よりも向上した。1名の児童については、合計点の向上は見られなかった。
【考察】抽出児童3名の観察と学習支援の記録から、運動有能感が低い傾向にある児童は、学習支援者の声かけや関わりの機会を増やすことで、運動有能感のうち、受容感・統制感を高めることに有効であることが示唆された。体力の向上や運動技能の向上につながる支援は困難であるが、周囲からの言葉かけや関わりにより、運動に対する自信をもつことができない児童の運動有能感を向上させるための支援の可能性が示唆された。