日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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学校保健体育研究部会 » 【課題B】保健体育授業をいかに良質なものにするか

学校保健体育研究部会【課題B】口頭発表⑤

2023年8月31日(木) 09:00 〜 09:59 RY203 (良心館2階RY203番教室)

座長:細越 淳二(国士館大学)

09:30 〜 09:44

[学校保健体育-B-19] これからの時代に求められる教師の指導性のあり方(教)

子どもの学習観に関わる質的分析を通して

*野田 勇紀1 (1. 千葉大学大学院)

本研究では、教師行動に対する生徒の要望を知った教師がどのような教師行動を起こすのか、教師の指導観や生徒の要望と照らし合わせながら分析を行い、これからの時代に求められる教師の指導性のあり方について検討を行うことを目的とした。
 対象生徒はA県A中学校の第2学年37名、対象教師は教職歴8年のA教諭であった。研究全体の流れとしては、①第一検証(質問紙調査による生徒全体の傾向把握→教師への伝達・教師行動分析)、②第二検証(抽出生徒三名へのインタビュー→教師への伝達・教師行動分析)と、量的分析から質的分析へと展開した。なお本学会(以下)では、①における結果と考察を述べる。
 まずA教師の教師行動は、A教師自身の指導観に基づくものであると同時に、生徒の求めにも対応するものであった。またこのことからA教師の指導観は、すでに生徒が求めているものと一致していたと考えられた。 ただ一方で、生徒の求めを具体的に知ることにより、彼らが望む教師行動に関する自身の認識を確信することができたとも語っていた。このことから、A教師は生徒の求めを知ることによって、自身の指導観や生徒に関する考えを裏付け、より強固なものとし、その上で自身の指導観に基づいた教師行動を生起させていたと推察された。そしてこのことは教師の指導観が生徒の求めに対応するものであるからこそ、生徒を導いていく一方で、生徒に歩み寄り、共に寄り添いながら彼らの学びを創っていく教師の新たな指導性の一つであると考えられた。