14:10 〜 14:35
[02社-口-04] 性的暴行事例から考える部活動の地域移行問題
西日本のある地方裁判所で2023年2月と3月に、地域におけるスポーツ指導で起きた性的暴行とわいせつの罪で2人の指導者に対する判決が言い渡された。1件目は地域スポーツクラブの指導員で市職員でもある男性による行為を問うもので、強制わいせつ罪で執行猶予つきの懲役刑が確定した。2件目は商業スポーツクラブの指導員で県の部活動指導員も務めていた男性によるもので、準強制性交罪ならびに準強制わいせつ罪で懲役刑が言い渡された。
スポーツの指導者が指導対象である競技者に対して加えるこうした性的暴行事例は、日本では1990年代終わり頃から表面化しはじめた。その後、いくつかのスポーツ統括組織が倫理規程を作成したり研修を行い、2020年からはガバナンスコードに基づく審査も始まっている。しかし依然としてこうした事例は起こり続けている。さらにセクシュアル・ハラスメントを含む性的暴行では、被害者に対する二次被害が他のハラスメント等と比べて深刻化する傾向があることから、そもそも表面化しにくいことも念頭におく必要がある。例えば日本スポーツ協会が設けている「暴力行為等相談窓口」の相談内容内訳において「セクシュアル・ハラスメント」の報告件数が毎年数件であることの背景には、そうした理由があるのかもしれない。
上記2件は、地域スポーツクラブと商業スポーツクラブという学校の部活動とは異なる場で起こった事例であるが、このことは、部活動の地域移行が試行されている現在においては従来とは異なる意味をもつ。地域に移された部活動の指導は、地域スポーツクラブの指導者、場合によっては地域にある商業スポーツクラブの指導者にも期待されている。そうした立場にある指導者によるこれらの事例は、学校外の指導者に対する適切な研修制度整備の不十分さに気づかせてくれる。部活動の地域移行に関する議論に、生徒たちの安全・安心を保障する制度の視点も取り入れたい。
スポーツの指導者が指導対象である競技者に対して加えるこうした性的暴行事例は、日本では1990年代終わり頃から表面化しはじめた。その後、いくつかのスポーツ統括組織が倫理規程を作成したり研修を行い、2020年からはガバナンスコードに基づく審査も始まっている。しかし依然としてこうした事例は起こり続けている。さらにセクシュアル・ハラスメントを含む性的暴行では、被害者に対する二次被害が他のハラスメント等と比べて深刻化する傾向があることから、そもそも表面化しにくいことも念頭におく必要がある。例えば日本スポーツ協会が設けている「暴力行為等相談窓口」の相談内容内訳において「セクシュアル・ハラスメント」の報告件数が毎年数件であることの背景には、そうした理由があるのかもしれない。
上記2件は、地域スポーツクラブと商業スポーツクラブという学校の部活動とは異なる場で起こった事例であるが、このことは、部活動の地域移行が試行されている現在においては従来とは異なる意味をもつ。地域に移された部活動の指導は、地域スポーツクラブの指導者、場合によっては地域にある商業スポーツクラブの指導者にも期待されている。そうした立場にある指導者によるこれらの事例は、学校外の指導者に対する適切な研修制度整備の不十分さに気づかせてくれる。部活動の地域移行に関する議論に、生徒たちの安全・安心を保障する制度の視点も取り入れたい。