日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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保健/口頭発表①

2023年9月1日(金) 14:00 〜 15:03 RY305 (良心館3階RY305番教室)

座長:久保 元芳(宇都宮大学)、物部 博文(横浜国立大学)

14:16 〜 14:31

[10保-口-02] 家庭において子供と性に関するコミュニケーションをとる際の母親の意識

*宮地 美帆1、小出 真奈美2,1、木塚 宙敬1、戸村 貴史1、古田 映布1、泉 彩夏3,1、片岡 千恵4、佐藤 貴弘4 (1. 筑波大学人間総合科学学術院、2. 流通経済大学、3. 鳴門教育大学、4. 筑波大学)

現在、性に関する教育は国際セクシャリティ教育ガイダンスに基づいた包括的な教育が求められてきている。包括的な性に関する教育は学校が中心的な役割を果たすといわれているが、学校のみならず家庭における役割も重要であり学校と家庭の連携が一層求められている。また、家庭での親子のコミュニケーションは子供の性に関する学習体験に大きな影響を及ぼすことが指摘されている。学校と家庭で学習する内容のギャップを埋めることが包括的な性に関する教育を進めていく上で重要であるが、保護者を対象とした性に関する教育についての研究は十分に蓄積されていない。そこで本研究は、小学生の子供を持つ母親を対象として家庭で子供と性に関するコミュニケーションをとる際の意識について検討することを目的とした。なお、本研究は個人の子育てに関する認識や行動を理解するための理論的枠組みとしてParent Development Theory(PDT)を用いた。本調査は、小学生の子供を持つ母親6名を対象としてオンラインによる半構造化面接法を用いて実施した。主な質問項目は、学校における性に関する教育の内容および子供の学びについて、家庭での性に関するコミュニケーションについて、である。収集したデータは継続的比較分析法を用いて分析した。その結果「自己防衛行動を教えることの重要性」、「性に関して大切な話をする適切なタイミング」、「学校と家庭での性に関する教育の内容」の3つの主要なテーマが生成された。母親は、子供と性に関するコミュニケーションをとる際に様々な困難を経験しており、これらには母親が持つ性に関する価値観や知識不足、日本の子育てに関する特徴などが要因として存在することが考えられた。これらの結果から包括的な性に関する教育の充実に向けて、学校を中心として家庭での性に関するコミュニケーションの強化を促すことが重要であると考えられた。