日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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保健/口頭発表②

2023年9月1日(金) 15:10 〜 16:13 RY305 (良心館3階RY305番教室)

座長:物部 博文(横浜国立大学)、片岡 千恵(筑波大学)

15:42 〜 15:57

[10保-口-07] 教育学的視点から見た日本のスポーツトレーナー教育の課題

日本スポーツ協会公認アスレティックトレーナーの教育カリキュラムに着目して

*鈴木 寛隆1 (1. 東京外国語大学大学院総合国際学研究科)

日本においてスポーツトレーナー活動は1970年前後から盛んになってきたとされ、国民体育大会における活動も1977年青森国体の陸上競技においてスポーツメーカー販売促進運動の一環としてスタートしたと報告がある。しかしながら、1994年の日本体育協会(現 日本スポーツ協会)公認アスレティックトレーナー(以下 JSPO-AT)制度発足以前は、理学療法士や柔道整復師、鍼灸師など異なる国家資格取得者や、アメリカのアスレティックトレーナー資格所持者、大学の体育系学部を卒業した者などが、各々スポーツトレーナーとしてスポーツ現場に帯同していたこともあり、教育課程の違いからスポーツトレーナーとしてのいわゆる「共通言語」を持っていない状況が問題視されていた。
以上の背景から「共通言語」を策定するにあたり、日本体育協会では1990年代にアメリカのアスレティックトレーナー制度を模倣しJSPO-AT制度が設立され、現在JSPO-ATはスポーツトレーナーの資格として最も認知度が高い資格の一つであると言える。 また、JSPO-AT制度設立以後、制度に関する研究やJSPO-ATの業務内容に関する調査研究、またJSPO-AT教育受講者を対象とした様々な研究がなされた。一方で、JSPO-ATの教育内容に関しては、救急対応をはじめとした一単元についての教育に関する先行研究はあるものの、JSPO-AT教育カリキュラムに関して教育学的視点から考察を行った研究は少ない。
そこで本研究では、田中耕治(2018)が示したカリキュラムの具体的構造である、①「教育の理念や目的」、②「社会的に共通理解されている目標・評価基準」、③「教育におけるスコープとシーケンス」、④カリキュラムの中に含まれる「科目群の領域」、以上の4要素を基にJSPO-ATのカリキュラムに関して検討し、教育学的視点から考察を行った。