日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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バイオメカニクス/口頭発表③

2023年9月1日(金) 16:00 〜 16:59 RYB1 (良心館地下1階RYB1番教室)

座長:長野 明紀(立命館大学)

16:45 〜 16:59

[05バ-口-14] 高精度キネマティックGNSSを用いた走解析の精度検証

コーナーにおけるワンステップ毎の分析

*小野寺 恵介1,4,5、宮本 直人2,5、廣瀬 圭3,5、中野 紘志4,5、宇田 峻也4,5、梶原 和子4,5、清水 大智6、竹田 正樹4,5,6 (1. びわこ学院大学、2. 大武・ルート工業、3. 久留米工業大学、4. 同志社大学スポーツ健康科学研究科、5. 同志社大学スポーツセンシング研究センター、6. 同志社大学スポーツ健康科学部)

走解析の主な指標として「ステップ頻度・ステップ長・走速度」が用いられる。計測には、ビデオカメラを用いることが一般的であるが、選手が特殊な機器を身に付ける必要がないという利点がある一方、分析に費用や手間がかかる。近年、GNSS (Global Navigation Satellite System) や加速度計等を用い、上記指標を算出する方法が検討されている。杉田ほか(2022)はGNSSのみを用いた走解析を試みており、GNSSのデータから頭部の上下運動を導き出し、最下点から最下点を1歩と仮定して走解析した。その結果、直線区間の20mにおける上記指標の平均値が、ビデオカメラの結果と「ほぼ完全に一致した」と報告している。しかし、一歩毎の測定精度や走特性が異なる曲線路における検証を行っていない。そこで、本研究では、曲線路における一歩毎の上記指標について、GNSSでどれだけ正確に測定できるか精度検証を行った。 陸上競技400 mを専門とする選手の400m走における、曲線路の2ステップについて、ビデオカメラとGNSSによる走解析の比較を行った。高精度カメラ(1080p、200フレーム/秒)2台により撮影し、マーカーレス動作分析ソフトWINanalyze(Windows版)を用いて3次元動作解析を行い、5ミリ秒毎の頭の位置の変化および上記指標を算出し、妥当性評価基準とした。GNSSについては、杉田ほか(2022)と同様に、100HzのGNSS計を頭上に装着し、頭部の上下運動から2歩分の最下点を求め、走解析を行い、ビデオデータと比較した。 その結果、ステップ時に頭が最下点を迎えるタイミングについては誤差5ミリ秒以内、走速度の誤差は秒速3cm以内であった。しかし、GNSSを用いた一歩毎のステップ長については左右差が大きく、ストライド計測は可能であるが、ステップ長の計測には注意が必要であると考えられた。