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[11教-口-18] ゴール型ボールゲームにおける状況判断力を高める指導法開発の課題とその解決の手がかり
先行研究の検討を通して
コートの隅でじっとしている子どもの姿。小・中学校でよく見かけるゴール型ボールゲームが苦手な児童・生徒がとる消極・回避的行動である。この原因について、中川(2000)、田中(2003)は、個人技能の低さもさることながら、それと同程度、またはそれ以上に「いつ」「どこに」「どのように」動けばよいかという、状況判断力の低さの影響が大きいと報告している。さらに、田中(2003)は、児童・生徒のボールゲームにおける状況判断力を高めるためには、その規定要因である戦術的知識の習得及び構造化を促す指導の必要性を指摘している。戦術的知識は、位置取りや動き方など言語化または図示できる「宣言的知識」と、リズム、タイミング、間合いなど、言語化しにくい、または言語化できない行為に関わる「手続的知識」で構成されている(筒井、2018)。また、手続的知識は試合状況内の手がかり(条件概念)とそこで有効な競技行為(行為概念)とが結合した形で記憶されていると考えられており、条件概念が認識されると、それと結びついた行為概念が選択・実行される(中川、2000)。先行研究の多くは、戦術的知識の内、宣言的知識における内実の検討及びその習得に関わるものであり、手続的知識における内実の検討及びその習得に関わる研究は非常に少なく、知見も十分に蓄えられているとはいえない。しかし、状況判断力の向上には、宣言的知識のみでなく、手続的知識の習得及びその構造化も促す必要がある。そこで、本研究では、ゴール型ボールゲームにおける状況判断力を高める指導に関する先行研究を文献的に整理・検討することを通して、手続的知識の習得及びその構造化を促す指導法開発の課題とその解決の手がかりについて明らかにすることを目的とした。