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[11教-口-19] バレーボールのオーバーハンドパス学習における教具の検討
紙風船を使用した学習の効果検証
本研究はオーバーハンドパスの技術学習において紙風船を教具として使用することの効果について検証することを目的とした。被験者は、大学生11名であった。実験では、紙風船を使用した学習の前後にオーバーハンドパスによる直上パス(20秒)と対面パス(30秒)のテストを実施した。紙風船(直径30cm)を使用した学習では、紙風船を潰さないで連続パスするためにはどうすべきかを考えながら練習することのみを指示し、直上パス学習と対面パス学習を各7分ずつ実施した。学習効果を検証するために、プレテストとポストテストにおけるパス回数の記録分析と技術分析、アンケート分析を行った。技術分析では、評価項目として「待ち受け(手をやや高い位置に挙げてボールを待ち受ける姿勢)」「ホールディング①(指を開き手首を背屈させながら肘を曲げ、額の前へのボールの呼び込み)」「ホールディング②(上肢と下肢の屈曲動作を使ったボールの呼び込み)」「押し出し(上肢と下肢の伸展動作に同期させた手首の返しによる押し出し動作)」「総合(緩衝技術を駆使したボールの呼び込みからの押し出し動作)」を設定し、バレーボール部所属の大学生3名がテスト映像をもとに評価を行った。パス回数の記録分析の結果、直上パス、対面パス共にプレ・ポストテストにおけるパス回数に有意な差は認められなかった。一方で、技術分析の結果、直上パスでは全ての評価項目で有意な向上が認められ、対面パスでは「ホールディング①」以外の項目で有意な向上が認められた。アンケート分析の結果、紙風船を使用した学習により技能改善したと自己評価した者が10名であった。また、紙風船を使用した学習後にはオーバーハンドパスに関する技術認識の深化がみられた。以上のことから、オーバーハンドパスの学習において紙風船を教具として活用することは、技能向上と認識の深化に効果的に作用する可能性が示唆された。