日本体育・スポーツ・健康学会第73回大会

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体育科教育学/口頭発表④

2023年9月1日(金) 11:25 〜 12:44 RY103 (良心館1階RY103番教室)

座長:三田部 勇(筑波大学)、荻原 朋子(順天堂大学)

12:29 〜 12:44

[11教-口-20] 中学校バレーボール授業におけるアンダーハンドサーブの学習成果

学習者の動作変容に着目して

*中島 章太郎1、宮崎 明世2 (1. 筑波大学大学院、2. 筑波大学体育系)

バレーボールのサービスにおいて、初学者が学習するのに適した技術にアンダーハンドサーブがある。中学校学習指導要領解説保健体育編(平成29年告示)において、「サービスでは、ボールをねらった場所に打つこと」が明記されている。しかしながら中学校のバレーボール授業では、サーブミスによってラリーを開始できない状況を避けるため、ボールを投げ入れてゲームを始めるのが実情である。また、限られた授業時間でアンダーハンドサーブを学習するための有効な手立てが確立されておらず、解決すべき課題であると考えた。そこで本研究は、中学生を対象としたバレーボール授業においてアンダーハンドサーブを学習するためのドリル教材を実施し、学習前後の動作の変容に着目して、その成果を明らかにすることを目的とした。
 先行文献を参考に、アンダーハンドサーブの運動課題を①右腕の使い方、②体重移動、③トス、④適切な部位での打球、⑤動作全体の協調性と力量的なコントロールの5つに整理した。これらの運動課題を学習することをねらいとして、「下手投げキャッチボール」、「振り子ボレー」、「コントロールサーブ」のドリル教材を作成した。作成した教材を、中学校1年生200名(40名×5クラス)を対象としたバレーボールの授業(全4時間)において、単元を通して実施した。1時間目と4時間目にスキルテストを行って、側方からビデオカメラで撮影するとともに、サーブの成否を記録した。また、毎授業後に形成的授業評価を行った。学習の成果を検討するため、事後にスキルテストの映像を、観察的動作評価法を用いて分析した。さらに、サーブの成否と動作の変容について関連を検討した。
 学習の結果、学習者全体のサービスの成功率は、学習前に19.0%であったものが学習後に37.4%となり、カイ二乗検定の結果、有意な向上が認められた。