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[07発-口-03] 幼児の運動促進に伴う体力・運動能力測定値の縦断的な変化傾向
[背景・目的]幼児期運動指針が2013年に発表され、多くの幼稚園、保育園で運動促進の取り組みが実施されてきた。しかし、その成果に関して長期的なデータを用いた検討は見られない。そこで、我々は継続的に運動促進に取り組んだ保育園における2012~2021年度までの体力・運動能力測定結果を用いて、その成果を検討することを目的とした。[方法]対象は、A県S市の保育園に通う年少、年中、年長児、延べ2976名であった。対象園は、同一の行政体制下の公立保育園であり、毎年度、運動促進の計画を立案、実施してきた。測定項目は、25m走、立ち幅跳び、ソフトボール投げ、反復横跳び、握力、体支持持続時間、長座体前屈の7項目であり、コロナ禍の2020年度を除く毎年、同時期に実施された。分析は、1)各学年における期間中の変化傾向の比較、2)幼児期3年間の成長を年少時の年度によるコホート間で比較、の2つの視点で行った。1)では学年と年度を要因とした分散分析により交互作用の有意性を検討することで変化傾向(傾き)の違いを検討し、2)では各コホートにおける幼児期3年間の記録の変化傾向の違いをグラフによる視覚的判断で検討した。また、いずれも性別に項目ごとに検討した。[結果・考察]学年間の変化傾向の比較では、男児の25m走、立ち幅跳び、ソフトボール投げ、反復横跳びで学年が進むにつれて記録変化の傾きが有意に小さくなることが確認され、走、跳、投といった運動能力項目で取り組みに伴う改善効果が弱くなっていることが示唆された。女児でも類似の傾向は見られたが、有意な交互作用は確認されなかった。一方、男女児ともに長座体前屈は、学年が進むにつれて傾きが有意に大きくなっていた。次に、年少時の年度によるコホート間での比較では、ソフトボール投げ、長座体前屈、25m走で年度が進むにつれて3年間の成長幅が小さくなっていることが示唆された。