[03心-レクチャー-2] アスリートの誇りはどのような感情なのか
自分らしさと誇らしさ
<演者略歴>
大阪体育大学大学院修了。博士(スポーツ科学)。2022年4月より現職、心理研究員としてトップアスリートの心理支援および研究に従事する。日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士。2022年より日本スポーツ協会認定コーチデベロッパーとして活動。
大阪体育大学大学院修了。博士(スポーツ科学)。2022年4月より現職、心理研究員としてトップアスリートの心理支援および研究に従事する。日本スポーツ心理学会認定スポーツメンタルトレーニング指導士。2022年より日本スポーツ協会認定コーチデベロッパーとして活動。
「誇りを胸に戦う」この言葉に象徴されるように、誇りは困難な課題に挑戦し、忍耐強く努力する行為を動機づけることが明らかにされている。誇りは他者との関係の中で、よりよくあろうとする私たちの欲求に支えられた社会的な感情である。しかしながら、誇りは単一の概念ではなく、個人によってその感情経験は様々である。本キーノートレクチャーでは、アスリートの誇りがどのような感情なのか、全体像を概観したのち、3つの視点からその正体に迫る。第一に、日本は集団主義文化に属し、個人の利益より他者との調和や協調が重視される傾向にある。アスリートが何を誇りに思うのか、誇りの対象にはその社会・文化の特徴が色濃く反映されている。第二に、たとえば、私たちが怒りを経験するとき、カッカと頭にくる怒りもあれば、イライラ腹の立つ怒りを経験するときもある。では、アスリートの誇りは、どのような感情体験なのだろうか。そして第三に、競技スポーツでは必然的に順位がつき、勝者が経験する誇りには多かれ少なかれ優越感が含まれる。卓越した技量を有するトップアスリートの長期的な目標達成の動機は、このような成功への希求だけなのだろうか。最後は、人を成長へと導く、より本源的な誇りについて迫りたい。