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[03心-口-08] ダーツ投擲における心理的プレッシャーが上腕部の筋活動量及び前頭前野の脳活動量の左右差に及ぼす影響
本研究では、ダーツ投擲中の心理的プレッシャーが上腕部の筋活動量及び前頭前野の脳活動量の左右差に及ぼす影響を検討した。右利きの若年男性29名(22 ± 2歳)に、非心理的プレッシャー課題(Non-P課題)として12投、心理的プレッシャー課題(P課題)として6投行わせた。対象者は、10秒間静止立位姿勢で待機後、5秒以内に投擲した。ダーツボード中心からの距離に応じて9~1点を設定し、Non-P課題では12投の合計点を、P課題では6投の合計点の2倍をダーツスコアとした。ただし、心理的プレッシャーをかけるために、対象者には以下の3点がP課題で適用されていると思わせた:1)9 ~ 5点のエリアの点数は2倍、2)4 ~ 1点のエリアの点数は0点、3)ダーツボード枠外への投擲は得点没収かつ即終了。また、P課題では、ダーツスコアにより報酬が変化する金銭的インセンティブ、及び、個々人のダーツスコアが無作為に抽出されたペアの報酬に影響する連帯責任を付加した。10秒間の静止立位時に、前頭前野のαパワースペクトル強度の左右差(右半球の値/左半球の値)を簡易脳波計で評価した。また、表面筋電図を用いて、ダーツ投擲時の肘関節最大屈曲からリリースまでの上腕二頭筋、上腕三頭筋、腕橈骨筋の筋電位の二乗平均平方根(RMS)を算出した。 いずれの変数も、P課題/Non-P課題の相対値で評価した。ダーツスコアの相対値(100% ± 20%)は、上腕二頭筋のRMSの相対値(109% ± 15%)(r = 0.421、P = 0.023)及び前頭前野のαパワースペクトル強度の左右差の相対値(104% ± 31%)(r = 0.372、P = 0.047)と相関が認められた。以上の結果から、心理的プレッシャー下でダーツスコアが向上した対象者は、リリース時の上腕二頭筋の筋活動量が増加し、左前頭前野が優位になることが示唆された。