12:29 PM - 12:44 PM
[11教-口-15] 小学校体育における「思考力」の育成を重視した授業づくりの検討
ICTを活用した6年生のハードル走の授業実践を通して
現行の学習指導要領では「知識及び技能」「思考力、判断力、表現力等」「学びに向かう力、人間性等」を育成すべき資質・能力として整理している。中でも「思考力」はSociety5.0時代を生きる子どもたちにとって、捉えどころのない課題から最善解を導くために必要な力とされている。 坂井ら(2022、pp.70-75)は発問と学習カードの工夫によって思考力を高めるハードル走の授業を紹介している。また、文部科学省(2020)はICTの効果的な活用について「資質・能力の育成により効果的な場合に、ICTを活用する」としている。これらを踏まえると、坂井ら(同上)のような実践にICTの活用を加えることで、思考をより深められる可能性がある。 そこで本研究は、ICTを利用し、「思考力」の育成を重視した授業が知識及び技能の変化に及ぼす影響について、小学校6年生のハードル走の授業実践を通して検討することを目的とした。 対象は公立小学校6年生49名とし、全7時間のハードル走の単元を実施した。「思考力」の育成を促すためのICT教材として、インターバル及びハードリング局面の見本動画と失敗動画や児童が導き出した動作のポイントを習得するための練習をipadで閲覧できる動画教材を作成し、グループ活動で活用することで動作のポイントを児童自身で見つけさせたり、各自の課題に合わせた練習を選択させた。なお、単元の前後で知識の変化を見るためのアンケート調査を行うとともに、技能の獲得を評価するために記録測定とハードリング動作の撮影を行った。 結果、ハードル走の知識について、単元後に行ったアンケートで動作ポイントに関する記述量が増大した。また、技能の評価として、単元前のハードル走タイムの上位、中位、下位に分けて比較した結果、下位群では有意な短縮が見られ、上位群及び中位群では大きく短縮した児童もいたが平均値では有意な変化は見られなかった。