[01史-レクチャー-1] ベルリン・オリンピック反対運動と反戦・平和の論理
オリンピック理念をめぐる対立
<演者略歴>
1958年長野県生まれ/筑波大学大学院博士課程単位取得満期退学
著書:イギリス労働者スポーツ運動史1923-58年(青弓社、2019年)/ベルリン・オリンピック反対運動-フィリップ・ノエル=ベーカーの闘いをたどる(青弓社、2020年)
1958年長野県生まれ/筑波大学大学院博士課程単位取得満期退学
著書:イギリス労働者スポーツ運動史1923-58年(青弓社、2019年)/ベルリン・オリンピック反対運動-フィリップ・ノエル=ベーカーの闘いをたどる(青弓社、2020年)
ロシアのウクライナ侵略がオリンピック運動に辛辣な影響を及ぼしている現状を前にして、改めてオリンピック運動と反戦・平和の関係について検討する必要があると考える。そこで、オリンピック大会の政治的利用が典型的な形で示された1936年ベルリン・オリンピックを対象として、そこでは戦争と平和をめぐってどのような主張や運動が展開されたのかについて詳述し、上記課題を考える素材とする。
検討の結果として、ベルリン・オリンピック推進論と反対論の対立から以下のような諸課題が見えてくる。一方で、1936年ベルリン・オリンピックを前にして、つまりナチスが政権を奪取した1933年1月30日以降も、IOCとともにアメリカとイギリスのNOCはベルリン開催を支持し続けたが、この対応が正しかったのか、という問題がある。他方で、ベルリン・オリンピック・ボイコットは正しかったのか、バルセロナ人民オリンピアードの対抗開催という方法が良かったのか、という評価の問題もある。ノエル=ベーカーがその対応で行き詰まったように、オリンピック大会の開催地の決定がIOCの専権事項となっていた状況下では、ボイコットもしくは対抗オリンピアードの開催という方策をとったことを否めない面もあったが。
当日は、以上の諸課題の提示するにあたり、ベルリン・オリンピック反対運動を推し進めた人々とベルリン開催を譲らなかった人々の考え方と行動を詳しく示すとともに、研究資料面の検討も含めて報告したい。
検討の結果として、ベルリン・オリンピック推進論と反対論の対立から以下のような諸課題が見えてくる。一方で、1936年ベルリン・オリンピックを前にして、つまりナチスが政権を奪取した1933年1月30日以降も、IOCとともにアメリカとイギリスのNOCはベルリン開催を支持し続けたが、この対応が正しかったのか、という問題がある。他方で、ベルリン・オリンピック・ボイコットは正しかったのか、バルセロナ人民オリンピアードの対抗開催という方法が良かったのか、という評価の問題もある。ノエル=ベーカーがその対応で行き詰まったように、オリンピック大会の開催地の決定がIOCの専権事項となっていた状況下では、ボイコットもしくは対抗オリンピアードの開催という方策をとったことを否めない面もあったが。
当日は、以上の諸課題の提示するにあたり、ベルリン・オリンピック反対運動を推し進めた人々とベルリン開催を譲らなかった人々の考え方と行動を詳しく示すとともに、研究資料面の検討も含めて報告したい。